医療機器の上市を考える上で【第3回】

2022/01/14 医療機器

上市に向けた計画を立てるにあたって。

上市に向けた計画を立てるために

 本稿では、時代が変化する中で、医薬品や医療機器などの開発から上市、そして上市以降もあらゆる面でサポートを行うために、新たに京都府として『薬事支援』を業務とし、京都府薬事支援センターを設置し、支援を行うこととしました。
 その中で得た経験等を踏まえて、皆さまに参考となるような情報をお伝えできればと思っています。

1.医療機器がどのようなものか ~レギュレーションにおける位置づけを明確に~
 医療機器を開発した場合、将来的に市場で流通させることが目的となるかと思います。
 そうしなければ、その医療機器で、患者の方々などを救うことは出来ません。
 一方で、開発した医療機器を市場で流通していく場合、同時に利益を上げていかなければ事業としては継続していかないと思いますので、当然、その当たりも考えていかなければなりません。

 もちろん、その医療機器を使用することが想定される医療機関の方々などの一定のニーズがなければ、購入もされないでしょうし、ましてや事業として利益を上げることも出来ません。
 そのため、予めそのニーズを把握することは非常に重要なことです。
 一方で、一定のニーズがある場合でも、その医療機器を市場で流通する上で、製造業や製造販売業の許可取得等もさることながら、その医療機器の審査がどのように行われるのか、どのような手続きが必要なのか、そしてそれらを踏まえた費用や時間がどの程度かかるのかを明確にしていかなければ、闇雲に費用や時間がかかり、ひいては事業化しても採算が合わないこともあるかもしれません。

 そのため、その開発し、市場へ流通していきたい医療機器が、薬機法においてどのようなカテゴリーのものになるのかを把握し、その後の見通しを明るくすることも重要です。
 
①  クラス分類
 医療機器は、現在でも手術用ピンセット、注射器、カテーテル等の器具類や医療材料から、CT、MRI、エックス線装置、超音波診断装置等の大型の機器まで様々なものが存在しています。
 また、体内に埋め込まれるペースメーカ等も医療機器です。
 このようにバラエティに富んでいる医療機器を、一律して同じものとし、画一的な手続きを課すことは、合理的ではありません。

 そのため、医療機器は、その使用により、どの程度身体への侵襲性(物理的な負担や影響による人体へのリスク)があるかにより、以下のとおり分類されています。

 

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執筆者について

田中 良一

経歴

株式会社シーエムプラス シニアコンサルタント。
2006年 京都府へ入庁。2009年より健康福祉部薬務課にて医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、体外診断用医薬品製造業・製造販売業許認可やGQP/GVP/GMP/QMS調査を担当。日本当局のPIC/S加盟によるQMSの立ち上げに携わる。2018年に厚生労働省へ入庁、医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 GMP指導官に就任、GMP/QMS関連の法・省令改正に従事。2020年に京都府へ帰庁、京都府薬事支援センターを立ち上げる。2024年7月にシーエムプラス入社。
業界活動としては、PDA製薬学会関西勉強会、製剤機械技術学会GMP委員会・DI委員会、過去には医機連QMS委員会、厚生労働科学研究に参画。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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