製薬用水の実践知識【第10回】蒸留って何?

2013/02/04 施設・設備・エンジニアリング

布目 温

はじめに
 今回は注射用水(WFI:water for injection)製造における最終に位置する蒸留器について、分離器としての仕組み・飛沫同伴防止・省エネルギー視点について整理します。
 
 
1.分離器として蒸留器
 不純物を分離する装置として蒸留器を利用するとき、最も重要な単位操作は蒸発です。蒸発により液体である水は、気体である水蒸気に相変化する。
 工業規模の蒸発操作で発生した蒸気は、濃縮された残留物に比べ価値が少ないというのが一般的であるのに対して、WFIの製造においては、細菌など不純物を含んだ精製水を気化分離することによりピュアなスチームを発生させます。
 このピュアなスチームを凝縮させると、その蒸留水がWFIとなり、一般的な蒸発濃縮操作とは逆に、蒸留水側に価値があり、供給された精製水に比べて価値が高いWFIが製造できます。
 したがって、蒸発操作で発生した水蒸気中に、一切不純物が含まれない、真にピュアな水蒸気を発生させる蒸発操作が、WFIを製造する分離機能に求められます。

図1 蒸留水のできるまで
 

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執筆者について

布目 温

経歴 布目技術士事務所
技術士 衛生工学部門:水質管理
1972年栗田工業(株)入社、1992年野村マイクロ・サイエンス(株)入社。2011年布目技術士事務所(製薬用水コンサルタント)開設。製薬用水のスペシャリスト。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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