医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第20回】

「日本の製薬会社は脱炭素社会構築に向けて何が出来るのか」
1、 製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。地球温暖化対策で真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞されました。いくつもの課題の中でCOP3京都議定書を1997年に日本国が採択した時、日本の製薬会社は何がどこまで出来るのかを模索したでしょうか?真鍋さんがすごいのはこの京都議定書の37年前1960年代の地球寒冷化の時代に地球の平均温度が上昇することを問題提起していました。その後2015年にCOP21パリ協定で世界の平均気温が産業革命以前に比べて1.5℃~2℃温度上昇を抑制することが問題提起され努力義務として採択されました。欧米の製薬会社はGlobal Standardに環境問題、省エネ、CO2削減について世界中の事業所で出来ることをリスク評価し、環境のリスクマネジメントをして仕事をしています。すなわち、何がどこまでいつまでにできるかの構想がすでに出来ているのです。当然開発途上国の自社事業所で出来ることと欧米の事業所で出来ることの評価結果は異なると思います。また、2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロという目標値は簡単に受け入れることが難しいのは当然ですが、KPIとして2030年までにこれを2013年度比26%削減に削減することを中期目標として定められました。何をすればどこまでできるのかは自社のGlobal Standardによれば明確なのです。即営業車はなくすとかすべてEVに変えるための投資予算や代替え手段を持っています。いずれにしても大きな投資金額が見積もられているわけです。これが製薬会社の社会的責任でもあるのではないでしょうか。コロナの影響のみならず、会社経営が厳しい時代ですので経営者の方々は売上減にどう対処するかで頭がいっぱいのことと思います。社員数が少ない会社の経営者の方とお会いする機会があり、話を聞きました。「経費など使えないよ」「従業員は半分休んでもらっている。戻って働いてもらいたいけど仕事が無いからその目途はたっていないよ」・・・・・そんな元気のない話ばかりでした。会社経営は売り上げがあって成り立ちますが、その売り上げが激減している会社はどうしたら会社をつぶさずに持続できるかに頭を捻る毎日だそうです。さて、会社数の7割が中小の会社と言われている日本国内の企業、又特に大企業の下請けをやっている企業は上位の企業次第でいつでも仕事がなくなるという現実の中で仕事をしています。2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロの目標に向けてすべての企業が何をどのようにすれば目標達成出来るのでしょうか?あのロシアが2060年に温暖化ガス排出量をゼロにすることを実施する旨の表明をしました。今月末に始まるCOP26のアプローチにするのでしょう。専門家はこのアプローチは現実的と評価するものと思います。さて、環境経営のあるべき姿は地球環境を守る為すべての企業のすべての人々が環境に配慮することです。世界は日本の低炭素社会構築に大きな貢献を求めています。しかし、日本国内法である温対法の特定対象に小規模事業者は対象となっていません。小規模事業者は業務部門としてすべきと考えられますね。これらを達成するには省エネ法だけでは間に合いそうにありません。省エネの他に低炭素エネルギーの利用の推進との両輪で実行を図ることがすべての企業に求められていると解釈すべきですね。
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