医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第18回】

2021/08/27 品質システム

佐野 旭

HSEを進めることと合わせてCSRを進めることが多くみられるようになってきた。

「HSEと企業のCSR & SDGsについて」

1、  製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。その時流としてHSEを進めることと合わせてCSRを進めることが多くみられるようになってきました。CSR(SDGs)は、その活動内容がHSEと一部重複しています。CSR活動を企業として進めることはHSEを行い、SDGsも会社理念に紐付けされた各々のPolicy、Requirement、Standardに従い課題・目標を設定し、KPIにその進捗管理を委ねながら進めて行くことになります。その際、CSRの目標・課題とHSEの目標・課題の内容に一部重複がありますが、これはCSRを進める上でのきっかけ作りとしてむしろ都合の良い要件として取り扱われています。一方、いずれにしてもHSEとCSRを進める上での障害が企業によって異なります。これは、それぞれの企業が持っている企業理念が異なるからです。又、同様にSDGsはCSRを進める上で必要なツールとなりますが、SDGsの成り立ちをよく理解して置かないと大変な誤解が生まれてしまいます。知っておく必要があるのは「SDGsは2015年9月にニューヨークの国連本部にて1~17のゴールと169のターゲットを2030年を目標に取り残さず達成することを193の加盟国全会一致で採択された国際目標」です。つまり、1~17のゴールを取り残さず、すべて達成することを求めています。簡単なことではなく大変なゴールですね。さて、多くの企業でCSR(企業の社会的責任)を始める目的は「企業の社会的信頼の向上」が挙げられています。一方、HSEのGlobal Standardを作成し、世界中の事業所で多様化を考慮した人種・性別他差別の無い活動はCSRでもSDGsでも求められるところです。複雑に重複したHSEとCSR&SDGsの整合性を各社企業理念に従い課題・目標を達成せねばなりません。如何に進めるかは医薬品製造という社会的使命をもった企業の立場を社会に広く受け入れられるものであるべきと筆者は考えています。

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執筆者について

佐野 旭

経歴

外資系医薬品会社に入社後、建設プロジェクトや設備保全などを担当し、また関連会社においては、医薬品の検査・包装にも携わりました。その後は工場のHSE Managerとして工場長と共にHSE Global Standardの社内への浸透をさせるべく事業所内教育に力を注ぐ傍ら、たびたび海外の事業所へAuditに出かけてHSE Global Standardの重要性を身をもって学びました。
M&Aが始まり7回の会社統合を経験し、そのたびに工場閉鎖が発生し、その環境影響評価と土壌汚染対策を担当しました。
又、会社統合のたびにGlobal Standardが変わり、Global Standardの体質まで学ぶことになりました。
2006年に退職後、コンサルタント会社を設立し、今までの経験を生かしてHSEのアドバイザーとして、企業のHSE導入サポート、企業内教育、HSE Audit、社内教育、講演、講習会、建設プロジェクトサポートなどの仕事をさせて頂いて多くの企業様、学校、行政関係様にお世話になり、現在に至っております。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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