現場の問題解決に役立つQC的考え方【シリーズ-2】

2016/06/02 製剤

シリーズ-2「問題解決とは」

 シリーズ-1では、QC的考え方について述べました。QC的考え方は、望まれる姿や現状の姿を明らかにして、全社的品質管理(TQM)を実践するための基本的な考え方です。また、“問題とは何か”についても述べました。今回は、この問題を合理的に発見し、効果的に解決するための「問題解決」について述べます。

1.問題解決の第一歩は問題の発見
 問題を発見できなければ問題解決はできません。問題とは、あるべき姿と現状のギャップ(差)なので、あるべき姿や現状の姿を明らかにすることが第一歩です。
 したがって、あるべき姿と現状にギャップがなければ問題は発生しない。また、到達不可能な目標と現状とのギャップは、理論的には解決不可能な問題ということになります。
 
1)あるべき姿と現状とは
 あるべき姿とは、管理者・職場の5大任務に例えると、品質(Q)、原価(C)、納期(D)、安全(S)、人材育成(M)について、組織としての目標といっても良い。一方、現状の姿とは、5大任務についての現状の姿である。クレームが多い。原価が高い、納期が遅れる、ヒヤリハットや災害が発生している、人材が育成されていないなどが現状とすると、これらが「問題」として取り上げなければなりません。
① 品質(品質を維持向上する、不良をつくらない)
② 原価(できるだけ安くつくる)
③ 納期(所定の納期で商品を届ける、短い時間で必要数を納期どおりつくる)
④ 安全(安善・安心を確保する、安全で働きやすい職場をつくる)
⑤ 人材育成(良好な人間関係をつくる、優秀な人材を育成する)
 問題発見とは、「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」の構造を把握することから始まると言えます。要するに、「ギャップ」をもたらすものが何かを洞察し、 その本質に迫ることが解決への道筋を示すことになります。
 
2)問題の種類
 問題は、必ずしも自分で見つけなくても「向かってくる問題」があります。また、お客様や上司から指示された「与えられた問題」もあります。向かってくる突発的な問題は、改善というより原因を排除して現状に復帰させる内容です。一方、指示された問題は、現状復帰もありますが更によくするための改善が多くなります。
 この他に、更なる向上や積極的に問題を掘り起こす「探し創り出す問題」があります(図表-1)。突発的な問題や指示された問題よりも、探し創り出す問題に取り組んでほしいものです。なぜならば、この方が楽しく改善ができるし創造性を発揮できるからです。
 

図表-1 問題の種類

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執筆者について

町田 勝利

経歴 神奈川品質経営研究所 所長。
小西六写真工業(株)(現:コニカミノルタ(株))にて、研究開発、製造に従事後、TPM推進室長、QM推進室長を務める。また在職中にQCサークル神奈川地区幹事長、副世話人、審査委員長を歴任。
同社(コニカミノルタビジネスエキスパート(株))定年退職後、現職。
人材育成、設備管理、品質管理、安全管理などの指導を専門とし、各種学協会主催の『TPM全般』、『QCサークル』をテーマとした研修において、講師を数多く担当している。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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