医薬品開発における非臨床試験から一言【第15回】

核酸医薬品開発では、臨床適用のための情報を得るため、効率的な非臨床試験の実施が求められます。本稿では低分子医薬品とは異なる核酸医薬品の薬物動態試験の取り組み方を考えてみます。さらに、一般毒性試験における反復投与毒性試験を取り上げ、基本的な使用動物についての考え方、用法用量の設定を紹介した後に、薬物動態と関連するTK(トキシコキネティクス)試験についてコメントします。

核酸医薬品の中でアンチセンス核酸やRNAi核酸等は、細胞内の標的遺伝子に運ばれて初めて有効性を示します。そこで、開発において最大の課題としては、効率的な吸収と、代謝による生体反応の回避、さらに標的組織内へのデリバリー方法の確立があります。

静脈内投与製剤では、分子を構造的に安定化させるため、まず代謝の回避を意図した構造修飾が必要になります。また、DDS(Drug Delivery System:体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術)の適用により特徴のある製剤が開発されると、血中濃度への影響や効果の持続など、薬剤本来とは異なった薬物動態を示すことに注意します。
一方、局所投与製剤は、製剤の工夫およびキャリアーの開発も報告され、非臨床試験ではDDSを考慮した薬物動態を把握することが大切です。

核酸医薬品の血漿中濃度推移は、放射性標識体を用いて血漿中放射能濃度推移で評価されています。しかし、放射能濃度は必ずしも核酸医薬品の有効成分の濃度指標ではなく、代謝物を含めた総放射能濃度であることに注意が必要です。そこで、核酸医薬、特にアンチセンス核酸では、UV検出によるキャピラリーゲル電気泳動(CGE-UV)およびLC-MS/MSを用いて有効成分が測定されています。しかし、RNAi核酸では投与量および分子量の面から測定が難しく、また生体マトリクスからの抽出法や血漿中の安定性を検討する必要があります。

核酸医薬品の開発にあたり、薬物動態試験の在り方を考えてみます。
吸収についての検討では、低分子化合物の試験と同様に、放射性標識体を用いた試験が比較的簡便で、血中放射能濃度からの情報が効率的に利用できます。血中濃度を解析することにより、消失速度あるいは分布容積など、核酸医薬品の体内動態をある程度予測できます。ただし、有効成分としての未変化体濃度により、核酸医薬品の血中濃度推移を可能な範囲で検討を行うことが大切です。

分布については、標的組織における局所の薬物動態を含めた検討を計画し、例えば放射性標識体を用いたオートラジオグラフィーあるいは蛍光標識体による組織・細胞内分布の特定などが局所の薬物動態の推測に役立つと期待されます。

核酸分解酵素(Nuclease)による核酸医薬品の代謝は、血中での未変化体の消失と合わせて評価することにより、体内での代謝安定性を予測することができ、また安全性試験でのOff-target効果の種差を説明することも可能となります。

排泄については、放射性標識体の排泄量を測定することにより可能ですが、あくまでも代謝物由来と推定される放射能の排泄量であり、核酸医薬品(未変化体)の評価にならないため、データの解釈については注意を要します。また、14C標識体を用いると、14CO2として呼気中にも排泄される可能性があります。

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