食品業界のサプライヤーオーデット【第3回】

はじめに
 食品業界のサプライヤーオーデットを担う食品安全認証スキームFSSC22000誕生の背景について、FSSC22000の主要素であるCODEX委員会が定める食品衛生の一般原則の附属書であるHACCPガイドラインが、国際貿易のルールの中で重要な役割を担っていること(第1回)、国際標準化機構(ISO)がCODEXのHACCPガイドラインを含む食品安全マネジメントシステム規格ISO22000を発出したが、衛生管理の要件が具体的に規定されていないことなどを理由に、商取引上の権威ある団体The Consumer Goods Forum(CGF)のイニシアチブのひとつであるGlobal Food Safety Initiative(GFSI)がISO22000を否定したことから、欧州の食品産業界が主導してGFSIの要求事項に合せるべくISO22000に肉付けしたFSSC22000が誕生したこと、そして食品産業界に多大な影響を及ぼすCGFとGFSIの立場についてお話しした(第2回)。
 今回は、FSSC22000の要求事項の概要と、これに影響を与えるGFSI Benchmarking Requirements(GFSI BR要求事項)の概要とその改訂についてお話ししたい。

GFSI BR要求事項とその改訂
 2020年12月現在、GFSIに承認されている(GFSI BR要求事項を満たしている)食品安全認証スキームは世界に12スキーム存在し、FSSC22000はその中の1つである。いずれの認証スキームも、GFSI BR要求事項が改訂される都度、各スキームとの間に生じるギャップを埋めるよう改訂される。対象はスキーム全体であり、第三者認証を受ける(審査登録される)組織(工場など)に対する要求事項以外に、組織を要求事項に基づいて評価(監査/審査)する認証機関(審査登録機関)、認証機関の能力を評価し認定する認定機関、そして監査員のトレーニングを担うトレーニング機関に対する要求事項などが含まれる。これらの評価制度はPIC/S加盟の際にGMPだけでなく、査察を担う規制当局のQMSを評価することとよく似ている。
 以下は、GFSI BR要求事項の最新版、Ver.2020.1の概要である。スキームの全体像や審査登録機関、認定機関への要求事項などの事務的な部分は省き、第三者認証を受ける組織に対する要求事項に絞って列挙する。要求事項は「HACCP」、「FSM」、「GMP」の3つの要素で構成されている。

1.HACCP
 CODEX委員会が規定するHACCPガイドラインに準じた要求事項である。HACCPについてはICHQ9のガイダンス文書に手法としての記載があり、また2020年6月1日に施行された改正食衛生法の主要素であるので、概要をご存じの読者も多いかもしれない。この要求事項ではCODEXが求めるHACCPの7原則12手順がほぼそのまま規定されている。
 その中の原則1(手順6)ハザード分析は、製薬業界の品質リスクマネジメント/リスク評価の手法としてよく使われるFMEAに似た手法である。食品安全上のハザード(意図された使用方法で食されたにもかかわらず健康被害が生じる)をハザードの起こりやすさと起きた際の健康被害の重篤性の観点から洗い出し、ハザードを低減又は除去するための管理手段を考える作業であり、もっとも重要な要素となっている。
 その他の要素は、
 ①    ハザード分析のための情報収集(対象製品の特性(原材料、水分活性値、
   pH、添加物、容器包装材の材質等の情報から、腐敗しやすいか否かなど
   の判断材料にする)、意図した用途(加熱調理するのか、そのまま接種す
   るのかなど)、対象消費者の特定(一般の消費者か、高齢者・乳幼児かな
   ど)、製造工程の順序、作業動線情報)と、
 ②    特定したハザードを低減又は除去するための管理手段の詳細 
   
(ハザード管理のための工程管理基準、基準を順守していることを監視す
   る方法、基準逸脱時の処置などを設定し、その通り実行できたか否かを検
   証し、記録する)という内容で構成されている。

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