業界雑感 【2020年12月】

  真菌薬イトラコナゾールへの睡眠剤リルマザホン塩酸塩水和物の混入問題は、医薬品製造に携わってきた者としてはショッキングなニュースだった。意識障害などの健康被害や車など運転中の事故につながったことなど、製造工程中のミスとしてあってはならない間違いだし、そういったことが起きないようにチェック網を何重にも張り巡らせているはずなのだが、それらを全部すり抜けてしまっているようだ
・   秤量から仕込みに至る経路の中に、他の原材料が入り込む余地がある
・   工場全体での原料の在庫管理の整合性がチェックされていないか異常があって
  も検知できないしくみになっている。
・   製造工程中の原料仕込み時のダブルチェックが機能していない
・   承認書に記載がない製造工程がSOP化されている
・   当該製品に限らず、製造工程の途中で原料の継ぎ足し(追加の仕込み)が日常的
  に行われていた可能性がある
・   品質試験で異常値が現れていた可能性があった
・   市場出荷判定に際しても当該ロットの記録や原材料出納で異常として認知され
  ていない
 など、報道からの想像だけなので断定的なことは言えないが、業界がGMPの施行以来40年以上もかけて積み上げてきたはずの「品質システム」はいったい何だったのだろうという思いである。

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