業界雑感 【2020年12月】

2021/01/08 その他

  真菌薬イトラコナゾールへの睡眠剤リルマザホン塩酸塩水和物の混入問題は、医薬品製造に携わってきた者としてはショッキングなニュースだった。意識障害などの健康被害や車など運転中の事故につながったことなど、製造工程中のミスとしてあってはならない間違いだし、そういったことが起きないようにチェック網を何重にも張り巡らせているはずなのだが、それらを全部すり抜けてしまっているようだ
・   秤量から仕込みに至る経路の中に、他の原材料が入り込む余地がある
・   工場全体での原料の在庫管理の整合性がチェックされていないか異常があって
  も検知できないしくみになっている。
・   製造工程中の原料仕込み時のダブルチェックが機能していない
・   承認書に記載がない製造工程がSOP化されている
・   当該製品に限らず、製造工程の途中で原料の継ぎ足し(追加の仕込み)が日常的
  に行われていた可能性がある
・   品質試験で異常値が現れていた可能性があった
・   市場出荷判定に際しても当該ロットの記録や原材料出納で異常として認知され
  ていない
 など、報道からの想像だけなので断定的なことは言えないが、業界がGMPの施行以来40年以上もかけて積み上げてきたはずの「品質システム」はいったい何だったのだろうという思いである。

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執筆者について

村田 兼一

経歴 村田兼一コンサルティング株式会社代表取締役。
1978年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)入社。注射剤製造、無菌バリデーション技術開発、FDA対応、基幹システム(SAP)開発等に従事後、生産本部にて中期戦略企画、工場分社化推進・合併準備委員会に携わる。合併後のアステラス製薬では、戦略企画の後、製造委受託の推進を担当する。
2012年に退社し、村田兼一コンサルティング株式会社設立。工場の原価をはじめとする計数マネジメントを中心に、SAP開発を含むサプライチェーン全般の管理・改善を専門とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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