実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント【第9回】

 前回は、「コアスキル」について述べた。理想のリーダー像、すなわちリーダーに求められる能力・スキルを取り上げ、四種類の人ザイ、マネジメントタイプについて述べた。今回も前回に続き「コアスキル」について掘り下げて考えてみる。
 
 さて、プロジェクトリーダーは、日常の態度をどのように心掛ければ良いのであろうか。プロジェクトリーダーに選抜される際には、これから述べる様々な事柄が十分にできている、ということであればもちろん、問題はない。しかしながら、実際には足りない部分があることも多い。これら足りない部分を補う研修などの対応が必要である。
 まず、信頼され素晴らしいプロジェクトリーダーと評価されるには、下記の三要素が必要である。
● 自身の「人柄・人格」
● プロジェクト遂行するための「能力」
● プロジェクトの「成果・結果」

 これら三要素がどのように影響を与えるかを具体的に見てみよう。プロジェクトリーダーがいくら「人柄・人格」や「能力」が優れていても、一人ではプロジェクトをうまく進められないし、「成果・結果」も出せない。リーダーがメンバーにエンパワーメント(権限移譲)することによって初めてプロジェクトが進むのである。しかし、このことを頭では理解していてもなかなか実施できない場合が多いのではないだろうか。それでは、エンパワーメントすることによってどのような効果が得られるのだろうか。ロールプレイなどで実践しながら身をもって下記の効果を確認することが重要である。
● プロジェクトとして、多くの業務が達成できる
● メンバーのやる気が高まる
● 新しい業務をやることにより、メンバーの能力が高まる
● 任された業務をやり遂げることにより、メンバーの自信が高まる
● リーダーが多くの時間をマネジメントに費やすことができる

 そして、リーダーがメンバーに業務を任せない下記の口実を排除することも重要である。
● 自分でやった方が早いし上手くできる
● 業務の任せ方が分からない
● 説明や指導に時間が掛かる
● 自分が好きな業務・得意な業務は自分でやりたい
● 自分が有能な人であると思われたい

 さらに、実際、メンバーに業務を任せる際には、事前に下記の「RAMPS」というチェックリストを確認すれば抜けがなく、上首尾に進む可能性が高くなるのである。
● Responsibility: 任せる業務(内容、範囲、目的、意義、重要性)
● Authority: 与える権限(内容、範囲、レベル、期間)
● Measures of Success: 成功(目標、成果測定法、期限)の定義
● Potential Problems: 予測できる問題点
● Support: 提供できる支援(情報提供、人財確保、予算確保、研修受講、打ち合わせ、コーチング、等)

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