ドマさんの徒然なるままに【第17話】
2020/06/12
品質システム

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第17話:チコちゃんに叱られそうな大人たち3
「弊社はGMP遵守でPQSもシッカリやっており、Quality Cultureも根付いております。」と立派なお言葉を発するものの、「ボーっと仕事してんじゃねーよ!」ってチコちゃんに叱られちゃいそうな製造所があったりする。どれだけ有益な情報となるかは???だが、問題点を再認識するには有効かもしれない。第4話「チコちゃんに叱られそうな大人たち」および第12話「チコちゃんに叱られそうな大人たち2」でもお伝えしたが、そんな問題児とも言える製造所を、最近の米国FDAによるWarning Letterを中心に、EUのNon-Compliance Reportや薬業ニュースの中から、筆者のお好みで取り上げてみた。
● どこかの国の政府筋のように記録をシュレッダーにかけたがる大人
インドW社*1の製剤製造所に関するものである。基本的には、品質管理としての試験検査の不備なのではあるが、その凄いところは、OOSといった感覚が全くないところであろうか。悪びれることもなく、ガスクロで不明ピークが出現しようが、結果が規格外となろうが、何度も繰り返し、適合になったところで良しとする。ここまでくると、「結果オーライ」ではなく、「期待した結果が出るまで行う」が基本方針なんでしょうかね。当然のことながら、OOS調査などするはずもなく、平然と出荷していたらしい。おーっ、やだ。
おぞましいことには、査察官の到着30分後に細断された文書とバインダー(バッチ照合様式・洗浄記録類・教育訓練の評価記録・秤量計のプリントアウトなどらしい)を含むゴミ袋を載せたカートを従業員が運んでいるのを査察官は目撃したとか。状況と目的こそ違えど、こういうのを“その場・その時点の第二者確認(witness)”って言うんじゃないんでしょうかね。サスペンス「査察官は見た!」としてドラマにでもなりそー。
ただ、廃棄以前に専門家会議の議事録も残さないなんて、唖然としてしまう国もありますけどね。記録の重要性、事実の証拠なんて感覚はないんでしょうね(でも、こういう国に限って、国民に対する行政指導は厳しかったりして・・・)。チコちゃんに叱ってほしいところだけど、チコちゃん自身がN●K所属だから、叱るのはちょっと難しそうだなー。
想像を絶するのは、ライブフィードカメラ越しに製造スタッフが相互に記録を渡しあっていたのを見た査察官が「現場を見たい」と告げたら、全く違う場所に連れていかれ、検証をはぐらかされたとか。しかも後日のForm483による回答では、「カメラの位置が不適切だった」であったとか。そういうことじゃないと思いますけどねー。そもそも、そのカメラって、なんのために付けてたの???
その昔、「インディアン 嘘つかない」なんて言葉があったような気がするが、それ自体がウソってこと? それとも、この製造所、大間違いですが“(Unforgiven) Quality Culture”は嫌と言うほど醸成されているってこと?
● 新型コロナウイルスほど怖くないとでも思っている大人
インドC社*2の無菌製剤製造所に関するものである。当該製造所、一言で言えば、「クロスコンタミと無菌性に多大なる問題あり」ということになる。少なくとも7つの製品にクロスコンタミが判明したとか。そのため、30バッチについての詳細を提出しろとまで書かれている(米国向け80バッチに影響ありだとか)。
HEPAフィルターについては、付帯されているうち45箇所についてサイドリークがあったとか。しかも、多くの場合にこれらのフィルターは同じ部屋に隣接していたとか。何のための清浄フィルターかってか。挙句の果てには、スモークテストもダメ出しを喰らっている。そもそも設計ミスであったようだが・・・。
当該製造所、クロスコンタミだとか無菌性保証だとか考えてないんじゃないですかねー。「新型コロナウイルスほど怖くないよ」なんて思ってはいないんでしょうが、風通しの良い、リーク満載のずじゃ漏れ製造室ならば、そりゃ“三密”は避けれるよなー。なんて思えてしまうんですよねー。
● 「私には見えません」を言い通そうとする大人
米国A社*3の点眼薬とホメオパシー医薬品の製造所に関するものである。当該製造所、一言で言えば、「微生物に対する認識が無い」と思われる。点眼薬となれば。当然のことながら無菌製剤である。にも拘らず、環境モニタリングも作業者のモニタリングもマトモにやっていなかったようである。凄い(酷い?)のは、検査技師が環境モニタリングプレートでの生菌数について1年間近く「0(ゼロ)」とカウントしていたとか。廃棄されたプレートを同日に回収したところでは、数え切れないほど多くのコロニーが含まれていたとか。もろデータねつ造である。しかも本物のデータは行方不明であったとか。恐ろしい。
どうもこの製造所、先のねつ造から推測できるように、かなり腐っているようで、ダメ出しのオンパレードである
・ 分析関係の規格・標準・手順等の一切(ほぼ全てと言えます)が設定されて
いない。
・ 製造担当者の適切な無菌衣着用ができていない。
・ 無菌であるとする医薬品の微生物汚染を防止するようにプロセス設計されて
おらず、全ての無菌および滅菌プロセスもバリデートされていない。
・ 製造から保管までの一切の設備・機器について、意図した使用・洗浄・メン
テナンスのために適切に使用しうる設計になっていない。
本Warning Letterの“オチ”として、査察後に当該製造所は一部の医薬品の作業を停止し、2019年6月にリコールを開始したと付記されている。
うーん、ここまで来ると絶句。言えることは、目が腐りそうで使いたくないということだけ。そういうことで、本件の小見出し「私には見えません」は、コロニー数が見えない&使いたくないの両者の洒落のつもりです。
● 「どういう教育受けとんじゃー!」と叱られていそうな大人
これまた無菌製剤であるが、韓国S社*4の製造所に関するものである。無菌製品で一番大事な無菌試験法の適合性を確立しておらず、さらに製品ごとの工程内バイオバーデン試験の適合性についても判定できていなかったような。驚くことに、指摘回答として、「分析法バリデーションについては委託者との契約条項に無い(due to lack of specific requirements)」と言い返したとか。FDA査察官もさすがです。「製造販売業者との契約に関係なく、契約施設として製造および試験する医薬品の品質に責任があることを思い出しなさい(We remind you that you are responsible for the quality of drugs you produce and test as a contract facility, regardless of agreements in place with product owners.)」と切り返している。
続く指摘としては、前述の米国A社の製造所と同様に、環境モニタリングと作業員モニタリングの不備。ただ、前者とちょっと異なるのは、教育訓練の不備について事細かく指摘されていること。どうもこの製造所、SOP・ソフトウェア・トレーニングが不十分で、外観目視検査員については、SOPで要求されている認定を受けておらず、何人かは教育訓練記録それ自体を欠いていたとか。要は、やってないのね。そりゃー、ダメだわ。チコちゃんに、思いっきり叱ってもらいましょ!
● 薬局方に記載がなければ試験不要と思っている大人
ちょっと珍しいルーマニアG社*5の軟膏製造所に関するものである。結果的には、品質試験(強度と同一性試験)の不備ということになるのであるが、少し変わっているのは、指摘に対して「公定書に試験方法の記載のあるものはちゃんとやっている」と回答しているものの、公定書に記載のないものについては無視したような。Warning Letter内には、「公定法が確立されていない適切な方法の開発が必要になる場合がある(This may require the development of appropriate methods where compendial methods are not established.)」とある。うーん、査察官もさぞかしブチ切れたでしょうねー。
この製造所、原材料等についてはクオリファイされていない業者の試験成績書だけでパススルーしていたようだし、品質部門(Quality Unit)が全く機能していないようですわ。まぁー、査察官ならずとも、「お前ら、なに考えてるんだ!」って、ところでしょうか。個人的には、査察官にちょっと同情してしまいそう。チコちゃんはどう思うのかな?
● 名前負けしてしまった大人
受託試験検査機関である米国I社*6に関するものである。試験検査限定の施設へのWarning Letterはさほど多くないように思うが、本施設は、根本的に腐っていると言うのがピッタシのように思える。細かなことはさておくとして、Warning Letter内の「お宅の品質部門は試験検査室の運営を適切に監督していない。(Your quality unit did not provide appropriate oversight to laboratory operations.)」に尽きる。
当該Warning Letterの見出しとして挙げたられた項目だけを見ても、試験検査施設一般のすべてをカバーしているように思われ、ここまで来ると、Data Integrity云々のレベルを超えているとしか思えない。
・ 医薬品が適切にテストされ、結果が報告されることを保証するための品質ユ
ニットの不備。
・ 重大な逸脱(OOS)を調査するための文書化された手順がなく、原薬の規格
も保証できない。
・ 分析法の適合性のベリフィケーション不備。
・ コンピューター化システムの不備(不正アクセス・変更防止・データ欠損防
止など)
この試験検査機関、名前は「International Trading Pharm Lab」だとか。完全に名前負けしてると思うのは筆者だけ? チコちゃん、そう思わない?
と言うことで、今回はここまで。
新型コロナウイルスによるパンデミックのせいで、各国が海外渡航を禁止or制限している状況にあっては、しばらくは各国規制当局も国内製造所を中心に対応するように思われる(本邦も含めて通知されている)。本話において常連の中国が入らなかったのは、筆者のお好みによるチョイスから外れただけで、今般の新型コロナウイルスとは無関係(パンデミック以前に実施された査察が対象)であり、たまたまのことである。ただ、米国FDAの査察官も、この状況下で中国製造所へは行きたがらないだろーなー、加えて政府間の思惑の相違もあり、中国側も来てほしくないだろうし、なんて思ってしまったりする。
でも、今回取り上げた製造所+試験検査機関、チコちゃんに叱られるといったレベルを遥かに超えてしまっているように思うんですけどね。
では、また。See you next time on the WEB.
【徒然後記】
SNSでの誹謗中傷が止まらない。とうとう自殺者まで出てしまったような。女子ブロレスラーの木村花さんが22歳という若さで命を絶ったとのこと。恥ずかしながら、この方の名前すら知らなかったし、リアリティー番組に興味がないこともあり、原因とおぼしき「テラスハウス」という番組も知らなかった。
筆者、さほどSNSにハマっているわけでもなく、ちょろちょろと覗く程度ではあるが、他人の掲載やコメントに対する悪口が多いのには驚かされる。意見として様々な見方があること自体は一向に構わないと思うが、明らかに非常識、良識のない内容、個人攻撃と思われるものもある。まして誹謗中傷は、いかがなものか。
範囲が限定されないだけでなく、書き込み者(匿名を隠れ蓑にしている)が不明であるので、学校や職場でのイジメよりも質(タチ)が悪い。ソーシャルメディア利用環境整備機構は緊急の声明を発表し、政府も今回の事態を重く見て、書き込み者の身元特定も含めての制度改正を検討するとのこと。
SNSが波及して既に10年以上が経過している現在、遅すぎると言わざるを得ないが、今からでも制度改正をするのであれば、迅速かつ適正に対応して貰いたいものである。
少なくとも、それが死んでしまった者に対しての、せめてもの“はなむけ”なんじゃないでしょうか。また、それにより救われる多くの方が居られるものと察する。
新型コロナウイルスで日々不安を抱えて生活している状況の中、せめてSNS上では明るく楽しい、癒しになる話題に出会いたいと願う。
木村花さん、せめて天国では大好きであったろうプロレスを思う存分にやってください。ご冥福をお祈りいたします。
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第17話:チコちゃんに叱られそうな大人たち3
「弊社はGMP遵守でPQSもシッカリやっており、Quality Cultureも根付いております。」と立派なお言葉を発するものの、「ボーっと仕事してんじゃねーよ!」ってチコちゃんに叱られちゃいそうな製造所があったりする。どれだけ有益な情報となるかは???だが、問題点を再認識するには有効かもしれない。第4話「チコちゃんに叱られそうな大人たち」および第12話「チコちゃんに叱られそうな大人たち2」でもお伝えしたが、そんな問題児とも言える製造所を、最近の米国FDAによるWarning Letterを中心に、EUのNon-Compliance Reportや薬業ニュースの中から、筆者のお好みで取り上げてみた。
● どこかの国の政府筋のように記録をシュレッダーにかけたがる大人
インドW社*1の製剤製造所に関するものである。基本的には、品質管理としての試験検査の不備なのではあるが、その凄いところは、OOSといった感覚が全くないところであろうか。悪びれることもなく、ガスクロで不明ピークが出現しようが、結果が規格外となろうが、何度も繰り返し、適合になったところで良しとする。ここまでくると、「結果オーライ」ではなく、「期待した結果が出るまで行う」が基本方針なんでしょうかね。当然のことながら、OOS調査などするはずもなく、平然と出荷していたらしい。おーっ、やだ。
おぞましいことには、査察官の到着30分後に細断された文書とバインダー(バッチ照合様式・洗浄記録類・教育訓練の評価記録・秤量計のプリントアウトなどらしい)を含むゴミ袋を載せたカートを従業員が運んでいるのを査察官は目撃したとか。状況と目的こそ違えど、こういうのを“その場・その時点の第二者確認(witness)”って言うんじゃないんでしょうかね。サスペンス「査察官は見た!」としてドラマにでもなりそー。
ただ、廃棄以前に専門家会議の議事録も残さないなんて、唖然としてしまう国もありますけどね。記録の重要性、事実の証拠なんて感覚はないんでしょうね(でも、こういう国に限って、国民に対する行政指導は厳しかったりして・・・)。チコちゃんに叱ってほしいところだけど、チコちゃん自身がN●K所属だから、叱るのはちょっと難しそうだなー。
想像を絶するのは、ライブフィードカメラ越しに製造スタッフが相互に記録を渡しあっていたのを見た査察官が「現場を見たい」と告げたら、全く違う場所に連れていかれ、検証をはぐらかされたとか。しかも後日のForm483による回答では、「カメラの位置が不適切だった」であったとか。そういうことじゃないと思いますけどねー。そもそも、そのカメラって、なんのために付けてたの???
その昔、「インディアン 嘘つかない」なんて言葉があったような気がするが、それ自体がウソってこと? それとも、この製造所、大間違いですが“(Unforgiven) Quality Culture”は嫌と言うほど醸成されているってこと?
● 新型コロナウイルスほど怖くないとでも思っている大人
インドC社*2の無菌製剤製造所に関するものである。当該製造所、一言で言えば、「クロスコンタミと無菌性に多大なる問題あり」ということになる。少なくとも7つの製品にクロスコンタミが判明したとか。そのため、30バッチについての詳細を提出しろとまで書かれている(米国向け80バッチに影響ありだとか)。
HEPAフィルターについては、付帯されているうち45箇所についてサイドリークがあったとか。しかも、多くの場合にこれらのフィルターは同じ部屋に隣接していたとか。何のための清浄フィルターかってか。挙句の果てには、スモークテストもダメ出しを喰らっている。そもそも設計ミスであったようだが・・・。
当該製造所、クロスコンタミだとか無菌性保証だとか考えてないんじゃないですかねー。「新型コロナウイルスほど怖くないよ」なんて思ってはいないんでしょうが、風通しの良い、リーク満載のずじゃ漏れ製造室ならば、そりゃ“三密”は避けれるよなー。なんて思えてしまうんですよねー。
● 「私には見えません」を言い通そうとする大人
米国A社*3の点眼薬とホメオパシー医薬品の製造所に関するものである。当該製造所、一言で言えば、「微生物に対する認識が無い」と思われる。点眼薬となれば。当然のことながら無菌製剤である。にも拘らず、環境モニタリングも作業者のモニタリングもマトモにやっていなかったようである。凄い(酷い?)のは、検査技師が環境モニタリングプレートでの生菌数について1年間近く「0(ゼロ)」とカウントしていたとか。廃棄されたプレートを同日に回収したところでは、数え切れないほど多くのコロニーが含まれていたとか。もろデータねつ造である。しかも本物のデータは行方不明であったとか。恐ろしい。
どうもこの製造所、先のねつ造から推測できるように、かなり腐っているようで、ダメ出しのオンパレードである
・ 分析関係の規格・標準・手順等の一切(ほぼ全てと言えます)が設定されて
いない。
・ 製造担当者の適切な無菌衣着用ができていない。
・ 無菌であるとする医薬品の微生物汚染を防止するようにプロセス設計されて
おらず、全ての無菌および滅菌プロセスもバリデートされていない。
・ 製造から保管までの一切の設備・機器について、意図した使用・洗浄・メン
テナンスのために適切に使用しうる設計になっていない。
本Warning Letterの“オチ”として、査察後に当該製造所は一部の医薬品の作業を停止し、2019年6月にリコールを開始したと付記されている。
うーん、ここまで来ると絶句。言えることは、目が腐りそうで使いたくないということだけ。そういうことで、本件の小見出し「私には見えません」は、コロニー数が見えない&使いたくないの両者の洒落のつもりです。
● 「どういう教育受けとんじゃー!」と叱られていそうな大人
これまた無菌製剤であるが、韓国S社*4の製造所に関するものである。無菌製品で一番大事な無菌試験法の適合性を確立しておらず、さらに製品ごとの工程内バイオバーデン試験の適合性についても判定できていなかったような。驚くことに、指摘回答として、「分析法バリデーションについては委託者との契約条項に無い(due to lack of specific requirements)」と言い返したとか。FDA査察官もさすがです。「製造販売業者との契約に関係なく、契約施設として製造および試験する医薬品の品質に責任があることを思い出しなさい(We remind you that you are responsible for the quality of drugs you produce and test as a contract facility, regardless of agreements in place with product owners.)」と切り返している。
続く指摘としては、前述の米国A社の製造所と同様に、環境モニタリングと作業員モニタリングの不備。ただ、前者とちょっと異なるのは、教育訓練の不備について事細かく指摘されていること。どうもこの製造所、SOP・ソフトウェア・トレーニングが不十分で、外観目視検査員については、SOPで要求されている認定を受けておらず、何人かは教育訓練記録それ自体を欠いていたとか。要は、やってないのね。そりゃー、ダメだわ。チコちゃんに、思いっきり叱ってもらいましょ!
● 薬局方に記載がなければ試験不要と思っている大人
ちょっと珍しいルーマニアG社*5の軟膏製造所に関するものである。結果的には、品質試験(強度と同一性試験)の不備ということになるのであるが、少し変わっているのは、指摘に対して「公定書に試験方法の記載のあるものはちゃんとやっている」と回答しているものの、公定書に記載のないものについては無視したような。Warning Letter内には、「公定法が確立されていない適切な方法の開発が必要になる場合がある(This may require the development of appropriate methods where compendial methods are not established.)」とある。うーん、査察官もさぞかしブチ切れたでしょうねー。
この製造所、原材料等についてはクオリファイされていない業者の試験成績書だけでパススルーしていたようだし、品質部門(Quality Unit)が全く機能していないようですわ。まぁー、査察官ならずとも、「お前ら、なに考えてるんだ!」って、ところでしょうか。個人的には、査察官にちょっと同情してしまいそう。チコちゃんはどう思うのかな?
● 名前負けしてしまった大人
受託試験検査機関である米国I社*6に関するものである。試験検査限定の施設へのWarning Letterはさほど多くないように思うが、本施設は、根本的に腐っていると言うのがピッタシのように思える。細かなことはさておくとして、Warning Letter内の「お宅の品質部門は試験検査室の運営を適切に監督していない。(Your quality unit did not provide appropriate oversight to laboratory operations.)」に尽きる。
当該Warning Letterの見出しとして挙げたられた項目だけを見ても、試験検査施設一般のすべてをカバーしているように思われ、ここまで来ると、Data Integrity云々のレベルを超えているとしか思えない。
・ 医薬品が適切にテストされ、結果が報告されることを保証するための品質ユ
ニットの不備。
・ 重大な逸脱(OOS)を調査するための文書化された手順がなく、原薬の規格
も保証できない。
・ 分析法の適合性のベリフィケーション不備。
・ コンピューター化システムの不備(不正アクセス・変更防止・データ欠損防
止など)
この試験検査機関、名前は「International Trading Pharm Lab」だとか。完全に名前負けしてると思うのは筆者だけ? チコちゃん、そう思わない?
と言うことで、今回はここまで。
新型コロナウイルスによるパンデミックのせいで、各国が海外渡航を禁止or制限している状況にあっては、しばらくは各国規制当局も国内製造所を中心に対応するように思われる(本邦も含めて通知されている)。本話において常連の中国が入らなかったのは、筆者のお好みによるチョイスから外れただけで、今般の新型コロナウイルスとは無関係(パンデミック以前に実施された査察が対象)であり、たまたまのことである。ただ、米国FDAの査察官も、この状況下で中国製造所へは行きたがらないだろーなー、加えて政府間の思惑の相違もあり、中国側も来てほしくないだろうし、なんて思ってしまったりする。
でも、今回取り上げた製造所+試験検査機関、チコちゃんに叱られるといったレベルを遥かに超えてしまっているように思うんですけどね。
では、また。See you next time on the WEB.
【徒然後記】
SNSでの誹謗中傷が止まらない。とうとう自殺者まで出てしまったような。女子ブロレスラーの木村花さんが22歳という若さで命を絶ったとのこと。恥ずかしながら、この方の名前すら知らなかったし、リアリティー番組に興味がないこともあり、原因とおぼしき「テラスハウス」という番組も知らなかった。
筆者、さほどSNSにハマっているわけでもなく、ちょろちょろと覗く程度ではあるが、他人の掲載やコメントに対する悪口が多いのには驚かされる。意見として様々な見方があること自体は一向に構わないと思うが、明らかに非常識、良識のない内容、個人攻撃と思われるものもある。まして誹謗中傷は、いかがなものか。
範囲が限定されないだけでなく、書き込み者(匿名を隠れ蓑にしている)が不明であるので、学校や職場でのイジメよりも質(タチ)が悪い。ソーシャルメディア利用環境整備機構は緊急の声明を発表し、政府も今回の事態を重く見て、書き込み者の身元特定も含めての制度改正を検討するとのこと。
SNSが波及して既に10年以上が経過している現在、遅すぎると言わざるを得ないが、今からでも制度改正をするのであれば、迅速かつ適正に対応して貰いたいものである。
少なくとも、それが死んでしまった者に対しての、せめてもの“はなむけ”なんじゃないでしょうか。また、それにより救われる多くの方が居られるものと察する。
新型コロナウイルスで日々不安を抱えて生活している状況の中、せめてSNS上では明るく楽しい、癒しになる話題に出会いたいと願う。
木村花さん、せめて天国では大好きであったろうプロレスを思う存分にやってください。ご冥福をお祈りいたします。
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*1::米国FDA/Warning Letter「Windlas Healthcare Private Limited MARCS-CMS 595494 — March 10, 2020」
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/windlas-healthcare-private-limited-595494-03102020
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/windlas-healthcare-private-limited-595494-03102020
*2:米国FDA/Warning Letter「Cipla Limited MARCS-CMS 597511 — February 25, 2020」
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cipla-limited-597511-02252020
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cipla-limited-597511-02252020
*3:米国FDA/Warning Letter「Altaire Pharmaceuticals, Inc. MARCS-CMS 586153 — March 12, 2020」
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/altaire-pharmaceuticals-inc-586153-03122020
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/altaire-pharmaceuticals-inc-586153-03122020
*4:米国FDA/Warning Letter「Samchundang Pharm Co., Ltd. MARCS-CMS 599255 — May 13, 2020」
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/samchundang-pharm-co-ltd-599255-05132020
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/samchundang-pharm-co-ltd-599255-05132020
*5:米国FDA/Warning Letter「Global Treat Srl MARCS-CMS 596638 — March 31, 2020」
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/global-treat-srl-596638-03312020
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/global-treat-srl-596638-03312020
*6:米国FDA/Warning Letter「International Trading Pharm Lab Inc MARCS-CMS 598537 — April 24, 2020」
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/international-trading-pharm-lab-inc-598537-04242020
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/international-trading-pharm-lab-inc-598537-04242020
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