品質に関する承認申請資料について【第5回】

 ロット分析及び安定性試験についての質問で一番多いのは、外国で実施された資料に3ロット×3回の繰り返しデータがないが、本邦で再測定する必要があるか?というものである。
 筆者の知る限り、3ロット×3回の繰り返し試験について述べられているのは、「医療用医薬品の承認申請の際に添付すべき資料の取扱いについて」(平成20年1月9日付、薬食審査発第0109005号)の「規格及び試験方法に関する資料の取扱い」において、「実測値の資料としては、原則として、3ロットについて、1ロットにつき3試料(計9試料)を測定したデータを提出することとするが、合理的理由があればこれによらないことができること。」と記載があるだけである。
 当該通知は、いわゆる後発医薬品申請における実測値の資料についてであり、合理的理由があればこれによらないことができることとあり、9試料(9ロット×1回)以上の資料でも認められてきたことである。
 新薬申請については、「新医薬品の規格及び試験方法の設定について」(平成13 年5 月1 日付医薬審発第568号)で「実測値は,原則として実生産工程を反映した3 ロット以上の検体について記載する。数値で得られる試験結果については,具体的な測定結果(数値)を記載する。実測値測定における,サンプリング,測定及び測定データ処理等には統計的な考え方を適切に取り入れる。」と通知されており、3ロット×3回の繰り返し試験は求められていない。
 したがって、これら通知を拡大解釈することなく、あくまでも科学ベースで分析法バリデーションの結果に基づいて繰り返し回数を考えるべきである。3ロット×3回の繰り返し試験にどのような統計的根拠があるのか不明であり、筆者の経験では、3ロット×3回の繰り返し試験成績がないことを問題視されたことはない。
 
 さて、CTD-Q作成要領の話は今回で最後である。
 
2.3.P.4 添加剤の管理
2.3.P.4.1  規格及び試験方法  
 「規格及び試験方法」の概略表(試験項目名、試験方法名及び規格値/適否の判定基準)を記載する。日局等の公定書に収載されている添加剤、又は従来より承認申請書において日局収載品を成分とする場合に準じて成分規格を記載できる添加剤(日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格等に収載された添加剤)は、その公定書等の収載名及び公定書等の名称を記載するだけで良い。
2.3.P.4.2  試験方法(分析方法) 
 承認申請書に記載した「規格及び試験方法」の試験方法を示す。日局等の公定書に収載されている添加剤は、その旨を記載するだけで試験方法は省略する。ただし、追加の試験項目、判定基準の変更等がある場合には、該当する部分を記載する。
2.3.P.4.3  試験方法(分析方法)のバリデーション 
 原薬に準じて記述するが、日局等の公定書に収載されている添加剤については、不要である。
2.3.P.4.4  規格及び試験方法の妥当性 
 原薬に準じて記述するが、日局等の公定書に収載されている添加剤については、不要である。
2.3.P.4.5  ヒト又は動物起源の添加剤 
 該当しないときは、その旨を記載する。
2.3.P.4.6  新規添加剤 
 新規添加剤については、他の添加剤とは異なり、製造方法など、原薬に求められている項目と同程度の記述、データが必要である。なお、本項には概略を記載し、詳細なデータ等は2.3.A.3 添加剤に記載する。

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