低コスト・短期間で高品質のペプチドを大量に供給可能な新技術

2019/09/13 新技術

記事投稿:JITSUBO株式会社
     山﨑 貴史

<Molecular HivingTMの概要>
 化学合成によるペプチド製造技術は、図1に示すように固相法(SPPS;Solid Phase Peptide Synthesis)、液相法(LPPS;Liquid Phase Peptide Synthesis)、タグ液相法(T-LPPS; Tag- assisted Liquid Phase Peptide Synthesis)の主に3種類に分類される1)
 
比較項目 固相法 液相法 タグ液相法
●反応      
 ・反応系  不均一  均一  均一
 ・長鎖ペプチド  適  製造日数が多く不適  適
 ・使用溶媒量  多い  多い  少ない
●工程管理  不可  可  可
●特殊設備  濾過反応機等の
 固相反応装置
 不要  不要
●製造日数  少ない  多い  少ない

 弊社技術であるMolecular HivingTMはタグ液相法に属する技術であり、下記の特徴を有している。
【特徴】
① 低分子医薬品の原薬製造で使用されている設備機器が活用できる。(設備投資⇩)
② 伸長反応でのアミノ酸使用量は等量で可能である。(原材料費⇩)
③ 大量製造が可能であり上限がない。(製造量⇧)
④ 1工程毎のHPLCによる反応モニタリング、工程管理ができる。(品質管理⇧)
⑤ 使用溶媒量が少なく環境保護に優位である。(環境影響⇩)

 このように、従来のペプチド製造方法に比べて多くの利点をもつMolecular HivingTM法は、固相法に対して溶媒を含む原材料費の削減、工程管理による品質保証の充実が可能であり、高品質、低コスト、短いリードタイムが見込まれる。

<Molecular HivingTMの特徴>
①    One-pot法
 一般的な液相合成法では中間体の精製が必要となることが多いため、カラム精製などの設備が必要である。また、固相合成設備ではペプチドが結合した樹脂の洗浄が毎工程必要となるため、ろ過反応装置が必要である。一方、Molecular HivingTMは中間体の精製を行う場合でも固化及びろ過で実施することが可能であるため、特殊設備は必要としない。

しかしながら、毎工程で固化及びろ過、乾燥を実施することはプロセスにかかる時間が長くなり、製造効率の観点では優れているとは言えない。そこで鋭意研究開発を進め、下記のMolecular HivingTM One-pot法を確立した1)
 

 本法の利点はMolecular HivingTMの利点である製造中間体が固化可能なことと脂溶性タグの特性を活用し、分液処理により不純物を除くことを両立させたものである。これにより固化及びろ過工程の削減が可能となり、製造効率が飛躍的に向上させることが可能となった。

②    工程分析
 固相法ペプチドが樹脂に結合しているため、反応工程において直接分析することは不可能である。樹脂をサンプリングし、切り出し操作を行うことで反応中のペプチドを分析することは可能であるが、切り出し工程由来の不純物の影響があるため、正確に反応時の状況を確認できているとは言えない。Molecular HivingTMは溶液としてサンプリングし、低分子化合物と同様の工程管理手法であるHPLCでの分析が可能である2)

<Molecular HivingTMの合成事例>
 子宮内膜症などの治療薬として上市されているLeuprorelin AcetateをMolecular HivingTMで用いて下記の通り合成を行った。
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<お問い合わせ連絡先>
 JITSUBO株式会社 CMC企画部 山崎
 E-mail : yamasaki@jitsubo.com
 HP: http://www.jitsubo.com/

参考文献:
1.金井和昭, 「ペプチド創薬の最前線 監修 木曽良明 第7章」, シーエムシー出版(2019)
2.久保大輔, PHARM STAGE, 2018, vol.18, No.6, 9-1
  

執筆者について

GMP Platform事務局

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