製薬メーカーと臨床現場とのギャップ【第4回】

2014/06/09 その他

0.はじめに
 「先生、新しい適応が追加となりましたので、添付文書が改訂となりました。つきましては全例調査となりますので、製造販売後調査の契約のお手続きをお願いしたいのですが...」 第1回でご紹介した新規医薬品の承認のお知らせと同様、病院の薬剤部ではしばしば見かける光景です。新しい適応が追加されたと聞くと、多くの医薬品ではもともとの適応症の類似疾患を想像します。例えば「大うつ病性障害」なら「社会不安障害」や「パニック障害」などの精神疾患、「潰瘍性大腸炎」なら「クローン病」や「関節リウマチ」などの炎症疾患です。しかし予想に反してまったく別の疾患が追加されることもあります。
 
1.育薬の歴史
 薬は時として毒にもなります。うまく使えば薬として役に立ちますが、使い方を間違えば毒としての作用が出てきます。ヒトは毒か薬かわからない化合物をうまく使い方を工夫しながら薬として使ってきました。 医薬品はヒトで得られた治験データを元に、有効性と安全性を検討して承認が得られてから一般的に使われ始めます。治験で得られるデータの数は限られていますので、一般で使われるようになってからも、慎重にデータが集められ、適正使用に役立てて行きます。その中で使い勝手が悪かったり、副作用が出たりすれば、改善あるいは販売中止などの措置が取られます。医薬品を適切に評価する目を持っている医師や薬剤師も、思わぬ作用に驚くことがあります。それを逆手に取った育薬の例も存在します。

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執筆者について

福永 修司

経歴 東邦大学薬学部卒、東邦大学大学院薬学研究科修了。基礎研究と臨床研究の二足のわらじを履きこなす。2004年持田製薬株式会社医薬開発部に入社し、第I相から第III相のモニタリング業務や総括報告書の作成、アウトソーシングの運用等の開発業務を経験。2011年より成田赤十字病院薬剤部へ入職。医薬品調剤、抗癌剤混注、病棟薬剤管理指導などの業務と平行し、治験や市販後調査関連業務の管理を行っている。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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