医療機器関連業界への招待【第2回】

2017/11/11 医療機器

●要旨
 第2回は、規制の意味を理解し、活用する姿勢を導きます。品物を考えるとき、対象範囲、「品質、有用性、安全性」の観点、ビジネスを考えるとき、製造販売行為、業態の重さ、がキーポイントです。それらを貫く、リスクの考え方も重要です。医療機器の5つの定義は、医療機器を理解するのに役立ちます。
 法律は、適正な方向を見出す物差しであることから、時代に合わせて変化します。適切に情報を入手し、織り込んで、事業を自ら考えていくことも、大事です。

●はじめに 規制の意味を知る
 薬機法(平成26年に薬事法から改正)は、保健衛生の向上を狙いとした、産業に馴染む法律です。その手段として、規制と振興の2本の柱があります。多くの人は、規制の部分だけを見て、厳しい法律だと考え、文章の読みづらさから、難しい法律だと考えているようです。しかし、実際のアクションを見てみると、どこにでも当てはまるようなマネジメントの典型のような法律です。法律は、ある種のガイドラインであり、戦略として活用する姿勢を持ちましょう。 
 この法律では、医薬品、医療機器、再生医療等製品、医薬部外品、化粧品を対象とするとしています。また、規制のポイントとして、「品質、有効性(有用性)、安全性」を掲げています。医療上、特に必要性の高い医薬品、医療機器、再生医療等製品に対する促進も行うことを示しています。これらキーワードを覚えておくだけでも、法律の活用のヒントとなるでしょう。
 
1 製造販売の意味するところ
 平成17年の法改正で、製造販売業という業態が導入されました。この業態は、市場に対するものと考えてください。製造と販売をまとめて取れる便利な業態ではありません。市場責任を大変重視し、導入されました。従って、物を作る業態とは大きな違いがあります。製造販売業者は、市場と向き合って、品質と安全の管理の仕組みをしっかり運営していかなければなりません。このため、品質や安全に関する責任者になるには、判断のための経験を必要とします。
 しかし、医療機器の場合、製品の内包するリスクには大きな幅があります。医療機器には、アイスキャンデーの棒と変わらない舌圧子もあれば、生命を左右するペースメーカーもあります。それらを同じ仕組みで管理するのは合理的ではなく、そのリスクによって、規制の重さに差があります。従って、製造販売業には3つの種類があります。


<図 1 製造販売業の種別と医療機器、リスク分類>
 

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執筆者について

吉川 典子

経歴 特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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