医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第39回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「グローバル企業と日本国内製薬企業のLoss Preventionマネジメント」

1、    製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化多様化が進む中、国際化多様化対応の出来ているグローバル企業と国際化多様化が進んでいない多くの国内企業の夫々の医薬品工場や化学物質製造工場はその事業所毎に爆発や火災の発生リスクとその被害が大きいことを踏まえて爆発や火災のリスクアセスメントの実施するを必要があります。 その目的は事業所毎にその取扱い原薬や化学物質毎のGHS(Global Harmonized Symbols)を調べると化学反応の特徴や引火点の低さ、着火エネルギー(Mie)爆発の大きさ(Kst)で爆発、熱・温度による液体からの蒸発ガスの爆発などリスクアセスメントをする上で必要な情報が入手できる。もちろん、GHS以外のSDS(Safety Data Sheets)など重要なリスク特定のための分析検討資料があります。
以下に:GHSの参考となる資料の一部を紹介しておきます。<GHS絵表示と意味>

厚労省「GHSの見方」より引用

上記のように、安全リスクとしての物理化学的安全性と健康及び環境有害性についてリスクアセスメントを行う上で必要な重要情報のいくつかを入手できます。上記リスクアセスメントの結果、優先順位の高いリスクからリスク低減対策を施すことが重要です。なぜなら、上記のリスク評価結果から想定できる健康被害や設備の損壊、環境汚染などへの影響可能性を見ると以下のような項目のリスクが関係づけられます。

  • 工場火災が延焼拡大するリスク
  • 工場火災により医薬品原料や化学物質の粉塵爆発、蒸発ガスによる爆発リスク
  • 火災により、容器が損傷して原薬や化学物質の流出リスク大、有毒ガス発生リスク大
  • 火災発生後の消防活動により消火水放水や化学消防により、消火水に混入した原薬や化学物質が工場敷地から表層水として又、雨水系排水管路から流出し、敷地周辺の土壌汚染、地下水汚染のリスクとなる。あるいは雨水系排水管路から流出した汚染水は河川へ流出し、人の健康被害発生リスクと環境汚染リスクとなる。
  • ビジネスの継続が2週間以上、1ヶ月以上、3ヶ月以上、又は1年以上、工場生産を再開出来ないリスク
  • 会社工場を土壌汚染、地下水汚染した際の浄化対策費用発生リスクと長期工場業務停止による社会的責任失態リスク

さて、上記各種リスクを事業所毎リスクアセスメントし何がTOPリスクか見極め、リスクマップにより社内に明示されていることが第一段階となります。このリスクアセスメントは安全のみならず、財務への影響も当然同時評価しますので、これらのリスクに対応する金額の損害保険はBCMの一環として会社存続のためにかけて置く必要があります。又、資産額は原価償却してゆきますのでこの保険金額や免責金額の設定に関しては保険会社の言いなりにならぬよう上記評価結果を留意して損害額と復旧のための想定額と地域の損害賠償まで加味した金額が保証されるよう保険金額のみならず免責金額も大きくならぬよう両者の合計金額で復旧を担保せねばなりません。日常業務で見直しや予算管理が重要な業務となっています。

さて、国際化が進んでいるグローバル企業はグローバルスタンダードでHSEのスタンダード77件から100件の構築とその管理運営をLoss Prevention部門として又はHSE部として運用されています。

 

 

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