医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第29回】

注射剤の検出可能な異物サイズとは

1.検査手順の重要性
一般的な製造において、作業手順が異なれば、仕上がりが早くても、出来上がる製品にばらつきが生じる。例えば、ドライバーを左手で持つか、右手で持つのかによって、先端の角度が微妙に異なる原因となる。そのため、作業手順を共有し、初心者でも熟練者でも同一の作業が行えるように、作業手順書として確認が出来るようにすることが重要である。
製造する人によって作業時間が異なることを防ぐため、作業手順を統一する。この「異なる」とは、ある人だけが早く出来ることも「非」であると考える。しかし、早く出来ることが共有できれば、その方法を共有の作業手順とすべきである。このように、手順の重要性は、医薬品の製造や外観検査ばかりでなく、一般的に認知されている。
PDAバリデーションレポート No.3改訂版 GMP教育訓練マニュアル(日本PDA製薬学会編集(じほう))に、手順の重要性を教育するためのツールが紹介されている(図表1)。ここでは、6列X5行の穴をあけた板に、30本の棒をすべて差し込むというゲームである。予備知識を与えずに作業をさせると色々なやり方をするだろうが、手順を決めて同じ手順で実施することで作業時間に差がなく、誤りにくい作業ができるということを身をもって体験させるというものである。

また、身近な説明として、餃子を作る時間を短縮する方法が、渋滞学(仕事のムラや作業効率を計算する式)の考え方を活用し紹介されている(東京大学・先端科学技術センター・渋滞学・西成活裕教授)(図表2)。効率UPのポイントは、区切りの良い段階で作業を分けることで、一定のペースで作業ができ、時短になるというものである。
 要するに、仕事は、「手順と段取りで決まる」というものである。


 

 

 

 

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