医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第36回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「日本国内製薬企業の人的災害リスク低減についての課題」

1、  製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化多様化が進む中、国際社会では人的災害の発生が新聞やTVニュースで報道されています。トルコでは4万人以上の死亡者が出る地震が発生しました。マグネチュード7.8の後すぐにマグネチュード7.5が続いて発生したようです。多数の建物が倒壊した映像がニュースで報道されていました。日本の新耐震基準(1981年改正)更に(2020年改正)にて震度6強から7でも建物の倒壊は免れる事を求めています。これは東日本大震災で震度7(マグネチュード9.0)が発生したことで改正したようです。又、ロシアのウクライナへの侵攻が1年を経過し、最近激しくなっているようです。これは今にでも核兵器が使用される可能性が出てきています。更にアメリカ上空で中国の気球がアメリカにより撃墜されました。同様に日本の上空にもどうやら中国の気球が飛んできていて、今日現在日本の防衛庁は撃墜を出来ずに悩んでいるようです。

このような現状の日本国内で医薬品工場は企業の社会的責任を果たすべく事業活動を継続する為にBCMで何を準備し、何を訓練するのかについて見直しの必要性を問われる時代になりました。先日、日本政府は防衛予算を増大し、同時に企業に向けてシェルターの設置を求めはじめました。どうやら調査した結果、地下鉄構内やシェルターとして使用できる施設を調査し始めたようです。結果、全然足りないのは調べるまでもありません。そこで、筆者の推測ですが、取り急ぎ企業にはそのBCM活動を推進する上でシェルターが必要である旨の判断をしたようです。今頃?と疑問を抱いている方が大勢おられると思います。広島や長崎でシェルターの必要性を痛感している国民でありながら、平和を望み、信じて家庭や企業にシェルターの設置を推進してこなかったことが大きな被災リスクを抱えて苦しむことになりそうです。企業はその事業活動を継続する為の人材を守る事が第一優先課題です。日本以外の国と日本のシェルター設置状況(日経新聞)を以下に列記して、各国の国民の命を核兵器から守る事への意識の低さを実感してみてください。BCMガイドラインで内閣府が企業に何を求めているのかを確認せねばなりません。企業や国民が核兵器で被害を受けた時、国が訴えられた場合には国はシェルターの設置を求めていたことを裁判理由に挙げて対抗する可能性を筆者は推測しています。

<国名(収容率:シェルターへ収容できる国民数/全国民数)(シェルター設置概要)>

  • 台湾(300%)(一定以上の規模のビル、マンションに設置義務)
  • 韓国(170%)(北朝鮮に近いソール市は住民の3.5倍を確保し、一部冷戦時に全新築住宅やマンション、工場に設置を義務化)
  • スイス(103%)(冷戦時に全新築住宅に設置義務化し、自治体が避難先シェルターを割り当てる)
  • イスラエル(70~90%)(国民の4割が自宅に設置。全新築住宅に壁の強化を義務付け、区画の設置義務化)
  • シンガポール(60%)(全新築住宅に設置義務化。地下鉄のシェルターは周辺人口に合わせて設置)
  • ノルウェー(45%)(95%の民間企業が設置済)

さて、医薬品工場があらゆる災害に対応するのは従業員の命を守ることと患者様への医薬品継続供給を行い、患者様の命を守ることである。そのためには企業としての社会的責任が重い業種であることから、自然災害リスクとして地震・台風・津波・洪水その他はもちろんのこと人的災害と言える他国からの侵攻にも目を向けたリスクアセスメントを行い、優先順位が高ければリスク低減対策を実施することが重要な義務と考えねばならない。そのとき、政府の進言でシェルターの設置を考えるべきであることは言うまでも無い。自社の多様性配慮をグローバルスタンダード化することで国内のみならず、世界中のサプライチェーン各社にリスク低減対策としてシェルターの設置を働きかけることが近未来の企業活動を担保してくれるものと考えます。

2,国内製薬企業の現状

しかし、日本の文化は他国とのサプライチェーン関係にあるにもかかわらず、他人事のようにリスクの特定をしないばかりか、自社のビジネスに大きな影響があることに気づいていても重い腰を上げようとしない。死者数4万人以上となったトルコ対地震で多くのビルが倒壊したがビルの建築基準や関係法令のレベルが異なることに注目はしていても、そのマグネチュード7.5から8クラスの地震に対応できる耐震強度を確保すべく調査し、必要な補強をしているのかというと国の新耐震基準を死守することに終始していて、それ以上の100年履歴上、最大の震度を想定して強度を設計している企業はわずかであるというのが現実でした。これをBCMの想定震度に採用して訓練し、運用している企業はわずかであることがわかりました。特に既存の建物への補強は新耐震基準を最低限死守するレベルという現実であった。つまり、国の法律基準を守ることのみ終始していて、想定以上の震度の地震が来たときは従業員の命を守れない。そして医薬品の供給を待っている患者様への供給リスクに気づきながら法律すれすれのビルや工場で医薬品を生産せねばならない財務上厳しい経営状況の企業の数が大多数であることもわかりました。日本の多くの企業は地下にシェルターを設置することはどうやら厳しいようですね。

政府は企業にシェルターを設置するよう推奨しました。これは中国が原子爆弾で核攻撃を行ったとき、被爆する従業員を守る事が出来ないという企業の厳しい現実がその背景にあるようです。

日本には古い文化があり、やらなくてもなんとかなるのではとかお金がかかるからという理由や外国人は言葉が面倒だからできる限り関わらないでいたい。サプライチェーンでの多様化対応構築の法制化が進む中、日本企業は責任ある供給・調査の取り組みが急務となっている。現在日本の製薬工場も低賃金労働を求めて、バングラデシュ・ベトナム・インドネシアへの製造委託をおこなっている。これは日本のみならず世界中の企業が製造業務を委託しているのが現状です。この現状で現地サプライチェーンでは人材の多様性対応と災害対策に対する課題は大きく展開し始めているようです。しかしながら、いずれのスタンダード化もすすんでいない。

<サプライチェーン従業員の安全を守る事の重要性についての日本企業の現状>

  • サプライチェーンに法的責任が生じる可能性が大きいのに他人事だと知らないふり。
  • サプライチェーンの中でリスクの大きい工場への関与が出来ていない。
  • 人権尊重への対処策や救済手段を持っていない。

グローバルスタンダード化しガイドラインに従い実践する事が求められます。

 

 

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