ゼロベースからの化粧品の品質管理【第28回】

化粧品GMP手順書の作り方 ⑨廃棄物の管理手順

 化粧品の品質管理についてお話させて頂いており、今回は⑨廃棄物の管理手順についてお話させて頂きます。
 最近では、化粧品製造所においても廃棄物に関する事項は、SGD’sやマイクロビーズをはじめとする環境対策は必須の状況となっており、企業姿勢が問われる等、製造所の運営において重要なテーマとなっています。また、環境対応面については、使用する資材やお客さまが使用し終わった後の廃棄の容易性も考慮が必要になっており、深い問題になっています。
 しかしながら、今回ここでは、衛生管理を中心とするGMPに関する事項に絞ってお話したいと思いますのでご了承下さい。
 一方、廃棄物の管理については、GMPの解説書ではあまり触れられていない事項で、少し違和感がある方がおられるかもしれません。しかし、衛生的なモノ作りにおいては重要であること、様々な化学物質を扱い、廃棄物も多種に渡る事業であること、そのためコンプライアンス体制が問われる事項ですから、企業としての取り組み体制を明確にしておくべきと考えます。

1. 廃棄物の管理体制の概要

 対象物質は、原料、資材、製品の受入れから最終製品の出荷に至るまでの全ての生産、試験検査および製造所の設備や環境の維持管理等により生じる廃棄物全般が対象になります。
 当然の事ながら、廃棄物置場が製品保管倉庫や製品出荷口に隣接していない等、構造設備の面からも対策必要で、原料・資材の受入れから最終製品の出荷までの動線に対して、発生する廃棄物の動線を明確し、対策を講じることが必要です。

1.1.    廃棄物管理に関する組織

① 廃棄物管理責任者

 廃棄物管理体制として、廃棄物管理責任者を定めることが必要です。
 工場では、総務課等、工場の管理部門が工場全体の廃棄物を担当していることが多いかと思います。
 そのため、GMP組織のところでお話しましたが、GMP組織を特別に作り運営するのではなく、工場の職制組織の中でGMP組織を明確にし、直接的なGMP組織には入っていないものの協力部門として管理部門を明記し、その中で、管理部門から廃棄物管理責任者を責任技術者(GMP管理責任者)が任命することが実態に合っていると考えます。
 その後、廃棄物管理責任者は、各部門において製造所の廃棄物の処理、分別を適切に運営するために、各部門に廃棄物管理担当者を任命し、その業務を行わせます。

②    廃棄物管理担当者

 廃棄物管理担当者は、各作業員に対して各部門で発生する廃棄物が製造所が定める“廃棄物区分票”に従い、適切に分別、一次保管および工場の廃棄物置場への移動が行われるよう管理します。

1.2.    廃棄物に関する法的要求

 製造所から出る廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物のどちらに区分されます。法令で定める20種類に該当するものが産業廃棄物になり、廃棄物の区分や種類を間違えて処理を行なうと法令違反になる場合がありますので注意が必要です。例えば、産業廃棄物に区分すべきものを一般廃棄物として処理会社に委託してしまうと、最悪の場合、無許可業者への委託とみなされ、排出事業者に1千万円以下の罰金か5年以下の懲役(もしくはその両方)が課される可能性があります。(法25条1項6号)

 <一般廃棄物>
 『一般廃棄物』は区市町村が処理について責任を持ち、市町村の分類区分に従います。また、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれのあるものを『特別管理一般廃棄物』として厳重に管理することとが必要です

 <産業廃棄物>
1燃え殻、2汚泥、3廃油、4廃酸、5廃アルカリ、6廃プラスチック類、7ゴムくず
8金属くず、9ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず、10鉱さい、11がれき類
12ばいじん

  • 業種限定のあるもの(特定の業種・事業活動から出た場合のみ産業廃棄物)

13紙くず、14木くず、15繊維くず、16動植物性残さ、17動物系固形不要物
18動物のふん尿、19動物の死体

  • 特殊なもの

20産業廃棄物を処分するために処理したもので、1~19の産業廃棄物に該当しないもの(例えばコンクリート固型化物)
 

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