知的財産の基本から知財ミックスまで【第7回】

(1)はじめに

 特許出願をした後に、第5回で解説した審査請求を申請すると、しばらくして特許庁から審査結果が通知されます。
 この通知には、大きく分けて拒絶理由通知と特許査定の2種類あり、特に拒絶理由通知の対応は特許化できるか否かに直結することになりますので、注意が必要です。

(2)    拒絶理由通知について
 拒絶理由通知とは、特許庁の審査官が、特許出願書類、特に特許請求の範囲の記載について審査した結果、特許を与えることができない理由(拒絶理由)を発見した場合になされる通知です。
 ちなみに、特許出願の場合、拒絶理由が通知される確率は非常に高いです。拒絶理由通知に対しては反論する機会が与えられますので、特許化できないとすぐに諦める必要はありません。安心してください。

 さて、この拒絶理由通知ですが、実は2種類あります。一つは「最初の拒絶理由通知」で、もう一つは「最後の拒絶理由通知」と呼ばれるものです。

 「最初の拒絶理由通知」とは、一回目の審査において通知すべき拒絶理由が記載された通知です。
 一方、「最後の拒絶理由通知」とは、原則として「最初の拒絶理由通知」に対する応答時の補正によって、通知することが必要になった拒絶理由のみ記載された通知です。

 「最初」と「最後」が違うだけでややこしいですが、この違いは実務的には非常に重要です。「最初」と「最後」で、特許出願の内容を補充・訂正(補正)できる範囲が異なるからです。
 「最初の拒絶理由通知」に対しては、補正できる範囲は比較的広いのですが、「最後の拒絶理由通知」に対しては、少なくとも1回補正を行ったものを再度審査した上での拒絶理由となりますので、補正できる範囲は非常に限定されてしまいます。

 同じ拒絶理由通知なのに、補正できる範囲が異なるのか疑問を持たれるお客様もいらっしゃるのですが、上述のような理由によるものです。
 「最初の拒絶理由通知」と「最後の拒絶理由通知」で、対応策が異なることが多いので、確かに『ややこしい』かもしれません。

 「最後の拒絶理由通知」については何れ説明する予定ですので、今回は「最初の拒絶理由通知」について説明します。

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