製薬会社MRとは一体何か?【第5回】

2022/11/25 その他

西 雅貴

薬の話ばかりするMRは嫌われる?MRに向いている意外な適性をまとめます

本日で5回目の連載となりました。
改めて自己紹介をさせていただきます。
新卒で塩野義製薬に入社し、2社目でコントラクトMRを経験し、現在は医療IT企業にて営業を担当してます。
会社員の傍で、「製薬MR」を中心にYouTubeも配信しております。(チャンネル名「にしまファーマ」)

4回目の連載ではMRは辛い職業?というテーマで執筆いたしました。
本連載では、「製薬MRに向いている意外な適性」というテーマで私が感じていることをまとめていきます。
(意外な適性というテーマですが、MRに向いている要素は後半でまとめています)

製薬会社のMRの適性というテーマを挙げると
「MRに向いているのはしっかり勉強ができて、薬の知識が豊富な人」
とイメージされることも多々あります。
未だにMR=薬学卒の人が多い。という印象が根付いているため上記イメージになるのですが、圧倒的に文系卒の人が多く全国の売上TOPのMRも文系出身が多いのも事実。

最近では、薬学系卒の新人MRが多くなっていると言いますが、それは会社の方針(専門性をつけたプレイヤーを増やしたいという方針)であって現場(医師)から同じ専門性レベルで求められているかというとそうでもありません。

(なぜ、現場では文系のMRも活躍できるのか、それは過去の連載でもまとめておりますので第2回で振り返ってみてください。)

結論まで少し長くなりましたが、MRに向いている人というのは一言でまとめると「医師と気持ちの良いコミュニケーションを取れる人」になります。
ただ、こういう書き方をすると結局は「コミュニケーション能力」という抽象的すぎる言い方になってしまうので、「医師が不快に感じるコミュニケーションとは?」と言い換えてまとめます。

知識よりも人間関係構築力の方が圧倒的に大切だということが伝わると嬉しいです。

【医師がMRを不快に感じる要素①先生の話を否定するMR】

1つ目は「先生の話を否定する人」です。

MR対医師の関係性において、最も特徴的だと言えるのが「顧客の方が格上である」ということです。
ここでいう格上というのは、社会的地位、医療知識の専門性の深さ、実臨床の経験がある、といった観点です。

MRは医師と比較すると社会的地位も専門的な知識レベルも低いです。
医師は直接口にはしませんが、文系卒の方が多いのはわかっていますし、専門性も実臨床の経験がないというのは既にわかっています。

それなのにも関わらず、MRが訪問にきて薬剤のディスカッションした時に先生の話を否定したらどうでしょうか。
先生の目線からすると、自分よりもレベルの低い人が何を言ってるんだ?と即座に思ってしまいますよね。

ただ、現実では先生の話を真っ向から否定してしまうMRがいるのも事実。
先生と薬の話をしていると、作用機序の解釈を間違えられたりすることもあります。
たとえ先生の解釈が少しずれていたとしても、営業としての立場が下である以上、一旦は先生の意見を受け入れなければなりません。

先生の間違いを正すための議論をする、これが1番先生がやってはいけないことですし、その後はMRの評価が上がることは中々ありません。
(参考動画はこちら↓)
【先生の本音】売れない、嫌われてしまうMRの特徴を先生にインタビュー!

一旦受け入れた後に、徐々に徐々に正しい理解をしていただくように言い回します。

【医師が不快に感じる要素②薬の話しかしてこないMR】

2つ目は、先生に薬の話しかしないMRです。

「えっ!MRは薬屋だからきちんと毎回薬の話をするんじゃないの?」
とイメージすると思いますが、薬の話ばかりされると先生はうんざりします。
MRは先生のところを訪問して、毎回毎回薬の話をしているかといえばそうでもありません。

上記の状況はこれから先、ほとんど変わらないと思います。
今でもMR未経験の社会人の方にお伝えすると驚かれますが、薬の話よりも雑談やエリアのイベント(講演会)の話が最も多いのです。

逆になって考えてみてください。
自分の家に定期的に訪問してくるウォーターサーバーの営業マンがいたとします。
その営業マンが訪問してくるたびに、ウォーターサーバーの機能の話ばかり。

買う側からすると、最初の1回目は良かったとしても途中からうんざりしてくるのではないでしょうか。
実際に先生方を訪問していると、薬の話ばかりするMRは嫌という人も多いですし、薬の話ばかりで出禁になってしまうMRも中にはいます。

前提として、MRの営業では「薬には興味がないし治療に困っていない」というところから始まりますのでMRは薬を使ってほしいが先生は興味がありません。
そのため、薬の話ばかりしていると先生の興味のない話を毎回持っていってしまっているのと同じなのです。

まずは、「先生が不快に思うコミュニケーションとは?」という観点からまとめましたが、
上記2点の要素がある方はMRに向いていません。

ではここから、MRに適性のある人の要素をまとめます。
(▼こちらの動画も参考にすると理解がより深まります。)
【必見】売れまくるMRの特徴を先生にインタビュー!

 

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執筆者について

西 雅貴

経歴

2015年3月に長崎大学を卒業し、新卒で塩野義製薬株式会社にMRとして入社。
その後、2019年10月にコントラクトMRに転職し、1年間の勤務を経てMRからキャリアチェンジ。
2020年からヘルステック(医療IT)企業へ入社し医療業界のDXに携わる。
2023年5月ににしまファーマ株式会社を創業。 
医療業界の転職支援に特化した人材紹介会社を運営している。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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