基礎からのGVP【第22回】

2022/11/18 その他

今回も引き続き、自己点検におけるGVP体制の改善について解説する。

~自己点検III:自己点検の教育~

はじめに
安全確保業務に関わる全ての関係者が、自己点検の意味を理解し、改善のために参画する体制を構築するためには、それぞれの役割・責任に応じて求められていることを理解しておかなければならない。特に、自己点検の担当者は。

1. 目的の明確化
自己点検の意義、「自己点検は、日常業務が薬機法等の関連法規を遵守して実施できるように、体制および手順に従って実施されているかを確認し、問題点の抽出及び改善の促進・完了確認すことによって、日常業務の適正さを保証し作成された資料・情報等の信頼性を高めることである」を、安全管理業務に関係する全ての者が理解し、それぞれの立場で協働することの重要性を理解・確認することが、教育の目的である。

2. 教育訓練の実施者
特に、限定されることなく教育訓練の対象者及び内容により適任者が決まる。医薬情報担当者(MR)等の実施部門への教育訓練は、自己点検担当者や安全管理部門等の一般の教育担当者に、教育の目的や自己点検の内容につき解説してもらうことで対応できる。また、自己点検担当者に対する教育訓練については、GVPや手順書の内容についての基礎的な解説であれば、安全管理部門のものは誰でも実施可能であり、点検上の技術的な訓練については、他のGXP関連の監査等の担当者にも対応できると思われる。しかしながら、点検結果の評価や改善プロセスへの関与についてはGVPに関する自己点検の経験を積んだ者に指導してもらうか、自身で研鑽していかなければならず、短期間で専門性を養うのは困難である。

3. 訓練対象者及び内容
教育のポイントは、安全管理業務に関与する全ての者が、自己点検によりどのような事項が点検されるのか、すなわち、誤りやすい、犯しやすい点は何かを理解されるような教育をすることが必要であり、対象者ごとにその内容も、また、深さも異なってくる。そして、自己点検担当者のみ教育されて点検技能を高めることは、全く的外れのことで、安全確保業務に係わる者、全員のそれこそSelf-Checkについて教育担当者と相談し、その重要性を学んでもらうことが重要である。
3.1. MR教育、実施部門への教育
点検すべき内容については、項目ごとに解説をすることにより確認してもらい、自己点検の本質である以下の事項について認識させる。
・自己点検の意義の十分な理解
・遵守状況について自身でも確認する意識
・改善への取組み、参画意識の促進
・自己点検担当者の役割
3.2. 安全管理部門の教育
GVPに関連する専門性を有する安全管理部門の者に、特に、自己点検としての内容について改めて教育する必要はないが、改善プロセスの当事者であることは十分に認識させることが重要である。
 

 

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執筆者について

草間 承吉

経歴 医薬品、医療機器、医薬部外品等の開発から製造販売後までの安全確保業務を黎明期から30年以上にわたり幅広く経験・管理・監督してきた。この間、業界活動においては製薬協PMS部会や東薬工医薬品安全性研究会、日薬連安全性委員会等でDSUやPMS担当者研修講座の設立等にも関与した。これらの経験を生かし15年前にPMSフォーラムを設立し、製薬企業等からの業務相談に対応しながら、指導・教育に努めている。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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