基礎からのGVP【第21回】

~自己点検II:GVP体制の改善~

はじめに
自己点検の結果に基づき、GVPでは製造販売業者等は、総括製造販売責任者に改善の必要性の検討を求めている。そして検討の結果、改善が必要と判断した場合は、改善の指示を指摘業務の担当者等に文書で行う。この改善を達成することは、自己点検の目的である「より整備された手順に基き、より適正かつ円滑な業務の遂行を図り、より信頼性の高い資料・情報であることを保証する」ことになる。

1. 改善計画の立案
改善等を指摘された業務を担当する実施責任者や担当責任者は、自己点検の結果より解決しなければならない問題点、他の方法を選択したほうがより適切と思われる点等を明確にし、個々の項目の解決方法、解決までの手順を検討する旨を「誰が、いつまでに、どのような結果となるように」と文書化した計画書を指示書発出者に提出する必要がある。

1.1 指摘事項分析
改善計画の立案の第1歩は指摘事項の瑕疵(欠陥の程度、違反の程度)の分析から始まる。点検者と被点検者が評価の結果を共有すること(から)が、改善の入口(スタート)となる。ここで、双方の見解が異なると計画の立案の段階で止まってしまう。最悪、「計画書を出せ」、「出す必要性がない」の議論に終始し、改善への糸口が見いだせないことになるので、双方でこのままであったら、どの様なことが起こりえるのかの意見交換から開始し、合意形成に傾注すべきである。問題なく対応が出来ている(A評価)、問題が発生している(D評価)を確認し、そのうえで、現時点では特に問題点は認められないが、ときには問題が発生するといいう程度なのか(B評価)、よくこれまでに問題が発生していなかったか不思議でならないといった程度なのか(C評価)を双方で見解を一致させることが重要である。その自己点検の明確な評価結果(双方で一致させた見解)に依存して、改善への緊急度(可及的速やかさ)及び規模が決まってくる。
B評価であれば、全体的な手順の改善計画の中で、整合性を図りながら修正を図ることも可能で、急速な改善を図ることによりかえって齟齬をきたしてしまわないようにするべきである。ただし、放置しておいていいということではない。
C評価であれば、直ちに改める必要があり、改善策の検証を含め可能な限り短期間で完結しなければならない。
なお、蛇足ではあるが、D評価は直ちに改めなければならない。

図-1 厚生労働省の評価基準(参考)

1.2 改善規模の特定
瑕疵の大きさ、深さに依存して改善対象がどの範囲まで及ぶかということを明確に特定することが、改善結果の堅固さを決定させる。その反面、改善の困難さも想定できるので、計画立案の初期段階で、明確に項目別に、対象範囲とその対象担当者に至るレベルまでの規模を特定することが重要である。
1.3 改善実施者の選定
改善規模の特定の段階で、改善対象業務の中心的な役割を担当している責任者は誰なのかを特定し、その者に改善実施の中心的役割を担当してもらえる実施者として選定することが、改善を最も図りやすくするものと考えられる。ただし、選定された実施者は、改善の中心的役割を担うのであって、関連する者全てで協力し合い実施しなければ達成することはできず、また、自己点検担当者の側面からの支援を含め、協働しなければ計画に沿った成果は得られない。
1.4 改善結果の限界
改善規模の特定において、あまりにも広範囲の規模の改善が必要な項目、例えば会社組織全般に係わるような、また、完了までにどうしても長期間を要するような計画の場合(ただし、たとえ広範囲であっても可及的速やかに改善を図らねばならい事項を除き)、一度の改善のみではその効果には限界があり、目的とするレベルには達しないこともありえると考える。その場合は、中間的なレベルでの改善到達点を示し、段階的な改善計画を作成する場合もあることを、自己点検担当者は理解すべきであり、その計画の妥当性を側面から担保してあげることも必要である。

2. 改善結果報告の確認
改善措置が終了した時点で、その措置内容につき指示書発出者に文書で報告しその措置が適切であったかの確認を依頼する。
改善措置の結果を確認し、問題点が解決し改善計画が達成されたことを検証する。その結果、特に問題なければ、措置の終了が確認されたこととなる。未解決点がまだ残っていると判断した場合は、再度の改善指示を行い、更なる改善を確認することを繰返し、改善が完了するまで確認することが必要である。なお、その際には改善結果の限界についても自己点検担当者は理解して結果の確認をしなければならないことも考慮することが重要である。
2.1. 措置終了確認
確認の結果、問題点が解決し改善が達成されたと判断出来た場合に、終了を宣言し、以降の業務においても継続した対応を依頼することとなる。また、次回定期点において、改善結果の継続的な妥当性も検証することを伝えておくことも必要である。
2.2. 再度の改善指示
確認の結果、措置が不十分で改善が達成しているとは判断できない場合は、更なる措置の早急な進捗を指示するとともに、律速となっている要因を明確にさせ、可能な支援を図る必要がある。また、改善計画そのものが不十分で、措置を完了させたものの、瑕疵が埋まらず依然と問題点が解決していない場合は、再度、改善計画を見直し継続して改善に努めるよう指示するとともに、新たな改善計画の立案に協力する必要がある。
2.3. 措置の中間確認
段階的な改善計画のもとで、措置が講ぜられている場合は、必ず計画段階で示された、経過中の達成到達点を基準に、中間的報告を確認し、進捗状況を評価する必要がある。確認項目として、達成の進捗度、改善計画の妥当性の再評価があげられる。また、措置の継続的な実施についても再度依頼するとともに、必要な支援についても確認し協働することを伝える必要がある。

 

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