知的生産性を革新する組織構造・空間構造【第5回】

6.空間と知的生産性
コミュニケーションに大きな影響を与える空間の要素の一つが距離である。
距離とコミュニケーションの関係はトーマス・アレンの10数年間の調査研究の大きな成果の一つである。縦軸は1つの空間内のコミュケーションの頻度を表し、横軸は人と人との距離を表している。


図-8 距離とコミュニケーションの関係

2つのラインは距離とコミュニケーション量の関係を表している。青のラインは部門間に壁のない組織を表し、赤のラインは部門間に壁のある組織を表している。
ここでの壁とは、心理的な壁、いわゆるセクショナリズムのことである。
青ラインの組織は赤ラインの組織と較べて、距離と関係なく倍のコミュニケーション量の差がある。これは組織構造にかかわる問題である。
組織の壁のあるなしに関係なく、一つの空間で人と人の距離が近づけば近づくほど組織の中のコミュニケーションの頻度は増える。特に30メートルを越えるとその頻度は急速に増えてくる。距離30メートルの距離に中にいる人たちは、それ以上に距離ある人たちに比較すると、組織コミュニケーションの回数が非常に多いことをこの表は表している。これは見える範囲の限界である。
この30メートルを限界とする、距離とコミュニケーション量の関係を一般的に「30メートル理論」と呼んでいる。
研究所の空間構造を決定するとき、この「30メートル理論」は重要な原則である。


6.1.研究者の日常
これはアメリカのデータで、医薬品の研究者の一日の行動を時間の円グラフにしたものである。代表的な例ではないが、研究者に共通する内容である。


図-9 研究者の一日
 
この表は、研究が実験室の中だけで行われているのではないということを表している。一般的に研究者は実験室の中で研究しているといわれているし、研究者もそのように思っている方が多い。
しかし、この表を見ると研究者が実験室の中ですごす時間は、一日8時間の内2時間36分即ち32.4%であり、全体の3分の1程度である。
無論実験室の中でもコミュニケーションはあるが、実験室は機能的な生産性を上げるための場で実験スタッフが中心で、対話の機会はそれ程多くないと考えられる。
多くの時間はオフィスの中にいることになる。成果を上げるプロセスでのコミュニケーションの多くはオフィスの中で行われている。
トーマス・アレンのデータでも日常的にコミュニケーションしている組織が高い成果を上げている。従って、コミュニケーションが行われるオフィスの位置、形、その大きさと、もう一つ重要な実験空間とオフィスの関係がどうあるべきかが重要である。

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