ゼロベースからの化粧品の品質管理【第24回】

化粧品GMP手順書の作り方 ⑦品質管理試験室(1/2)

 毎月、化粧品の品質保証体制について、実際のオペレーションの留意事項を中心にお話させています。今回は、⑦品質管理試験室に関連する事項についてです。少しボリュームが多いので、次回と2回に分けてお話します。
 品質管理試験室に関する事項をお話する前に、GMPにおける品質管理試験室の位置付けについて再確認したいと思います。先ず、品質部門は品質管理と品質保証の二つの機能に分類され、品質管理試験室が担当する品質管理の業務は、所謂検査グループ等の組織名で呼ばれている部門で、検査の業務になります。検査の業務は、品質保証のプロセスの中では関所機能を担っています。関所機能ですので、品質保証のプロセスの中では要のプロセスになります。従って、試験、検査の業務は対外的に透明性が高いこと、公正であること、妥当性が高いことが必要です。
 これらの妥当性に応えるためには、公定書に沿って試験、検査が行われていることが必須です。私がお会いした方の中で、外原規の通則を読んでいない、理解されていないと感じた方が多くおられました。注意が必要です。他にも、局方の理解や食添の理解も必要ではないかと考えます。
 例えば、測定値の中で、規格値:0.9~1.1という項目に対して、測定値0.9981という検査結果表が示された時、皆さんはどう感じますか? 私がこの測定値の記載について指摘をした時、首を傾げられる課長さんがおられました。課長という指導者の立場でありながら、基礎的な部分を押さえられていないことに私は不安を感じました。皆さんの会社は、如何ですか? 
 また、専門的な知識の確保も必須です。米国FDAによる査察の際には、化学者(分析関係の専門家)と微生物担当者(微生物検査、防腐・防黴の管理者)は、専門家としての経歴の開示が要求されました。つまり、検査をこなすだけでなく、管理、保証体制に対してリーダーシップを発揮できる能力を有することが求められている訳です。脱線になりますが、社内で育成し、検査の責任者として業務を担当してもらうことは日本的では良くある話です。その場合には、海外からの査察対応の対策としては、例えば、公的資格を取得していることを示すことも有効な方法であると考えます。
 それでは、本題の品質管理試験室について明確にしておくべき事項を再確認したいと思います。

1.品質管理試験室の機能
  品質管理試験室は、原料、材料、バルク、半製品、製品の受入れ品が求められる品質を満たしていることを
  確実にし、使用、次のステップに進むことを許可するゲート機能(関所機能)を果たすことが必要です。
 

表1.化粧品で求められる機能

 

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