エッセイ:エイジング話【第37回】

常水基準項目が増加した影響(今回はこれによる悪い影響面へ目を向ける)。
常水基準項目が増加した影響
常水基準が水道法基準へ一致したことによる影響を、前回ここで取り上げました。今回はこれによる悪い影響面へ目を向けます。
第一には、項目数が増えた結果として委託試験へ進んだことです。医薬品工場は品質確保のために化学分析が多く実施されます。水質試験へ多くの人員を割くことができない現状があります。
この現状から、社内で常水試験をされても試験頻度を減らす対応をされることも納得できます。常水試験は精製水試験ほどには、水質管理上で重きがおかれないことも背景にあるでしょう。
また、新しい試験項目への取り組み、とりわけ分析精度を保つに検査員のトレーニングと試験項目毎での検量線作成も必要になります。
検量線作成:標準物質を使い測定方法が目的に適していることを確かめる行為
化学分析は、一般にサンプル中に測定対象が想定濃度範囲で存在することが判って初めて定量ができます。これはヒントがないと正解に至らないクイズに似たところもあります。常水中に存在した履歴がない項目を初めて検査する際には、予備試験からスタートします。
例えば、カルシウムは国内の自然水中に普遍的に含まれますから、有効数字2桁を定量するに予備試験なしでも可能です。ところが、ベンゼン, 四塩化炭素などは自然水中に普遍的に含まれず、限度値として規定される「0.01mg/L以下であること。」「0.002mg/L以下であること。」に対し、これら低濃度レベルにおいて2桁の有効数字を得るには、測定対象に予想される濃度範囲を探索することから始め、測定の度に検量線作成も必要でしょう。
それまでの常水純度試験項目にはなく、第十五改正によって加えられた32項目は、この傾向が顕著な化学物質群です。
第十五改正によって加えられた32項目(1/2)
第十五改正によって新たに加えられた32項目(2/2)
注:番号は常水検査項目に収載される順番に合わせた。
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