「モノづくりの君へ」【第8回】

【第8回】
1.ものづくりのスタートは5S
2.なぜなぜを5回くりかえす
3.作業の6つの基本を叩き込め!
4.問題解決の有効な手段:見える化
 

 100万個をすべて同じ品質・コスト・デリバリーでつくり続ける「モノづくり」では生産事故は必ず起こるものである。起こりやすい事例やその対処法について述べてきたが生産事故の章の最後に、事故を起こさないための基本的な事、そして問題点解決の有効な手段である「見える化」について述べる。
 
1.モノづくりのスタートは5S
 "5S"はよく周知されたことであるが、実践的注意点を述べておく。
 
 モノづくりの基本、スタートが「5S」である。すなわち整理、整頓、清掃、清潔、躾
 (しつけ)である。5S活動そのものについては従来一般的に言われていることなので詳しく述べないが、
 
 ・整理とは、要るものと要らないものを区分けし、処分すること。
 ・整頓とは、必要なものをきちんと区分けして置くこと。
 ・清掃とは、身の回り、職場の中をきれいに掃除すること。
 ・清潔とは、だれが見ても、だれが使用してもいつもきれいにしておくこと。
 ・躾とは、ルールや規律を守ることである。
 
 (筆者は整理・整頓ができれば自ずと清掃・清潔は行われるので、躾も含めた3Sで良いと思っているが)、製造現場についてだけでなく、オフィスや間接部門の仕事についても、いつも上記を心がけねばならない。ベテランは、工場を訪れた際応接室でその工場のレベルがわかる。玄関の靴やスリッパが揃っているのは当たり前だが、壁に飾ってある絵画がまっすぐかどうかというところまでみている。
 整理・整頓を問題にするのは、そのような現場やオフィス(例えばラインがスルーっと綺麗に見通せない現場)では"問題点"や"不具合"が隠されてしまっているからである。
 
 ここで留意しなければならない事は、「整理」にあたって、そのモノが不要か否かは、個々の作業者の価値観に任されている、任せてしまっていることが多いことである。
 とかく、作業している人は、自分が仕事をしやすいように、効率がアップするように次のロットの材料や道具を手元に持ってきたりするものである。当人には効率的にはなっていても、必ずしも全体ではそのようにはなっていないものである。
 不要か否かは、みんなで・職場で・組織として、決めていかねばならない。そしてそれを最終的に決めるのは幹部・管理者である貴君なのだ。個々の作業者に任せたのでは部分最適になっても全体最適にならない。
 躾がイチバン難しい。カルチャーであるからである。現場に入る時は脱いだ靴はきちんと揃えましょうと決めても、従来持っていた日本人の美意識や謙虚な国民性が薄れつつある現在、家庭でしつけられていないことを会社でしつけることができるか一抹の不安がある。

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