はじめまして+製薬業界と品質システムとコンピュータ【第3回】

CSVとは?(IT屋が考える、注意点と対策)

さて、先月に続いての『CSVとは?』。今回は少し具体的に、“ITベンダーが見た、CSVの注意点と対策”として、4つほど具体例を挙げたいと思います。
我々が実際にCSV対応を行わせていただいた際の課題や、頻繁にいただくご質問、巷でよく言われるシチュエーションなどなど。皆さんが直面されているCSV対応における課題への解決の糸口になればと考えていますので、すこーしだけ長いですが、お付き合いください。

 

CASE01:どこまでやったら良いの?

CSV対応作業を行う上で、『何処まで何をやれば良いのか』というのが、最初の関門になると思います。行政から出ているガイドラインを見ると、何かとやるべきことが沢山あるように見えて先が思いやられますし、特に日頃コンピュータシステムを“作る”ことが無い皆さんからすると、『機能仕様や設計仕様って、どうしたらいいの』となるのは当然ですよね。
そんな時は是非、IT屋に相談してください。CSV対応は皆さんだけで行うものではなく、コンピュータシステムを取り扱うIT屋と共に行うのがベストです。沢山ある工程も、それぞれが得意な分野を担当することでスムーズに対応することが可能になります。
そこで、前回提示した【CSV対応工程(下図)】を例に見てみましょう。

CSV対応における各工程を、皆さんとIT屋とで作業担当分けした例になります。特にコンピュータシステムの“機能”や“環境”の部分については、『どんな機能があるのか(機能仕様や設計仕様)、正確に設置できたか(据付評価)、どのような結果をもたらすのか(運転評価)』を熟知しているIT屋に任せましょう。代わりに皆さんには、『どのような計画でコンピュータシステムを導入するのか(開発計画)』『コンピュータシステムにどんな動きを求めるか(要求仕様)』をしっかりと考えていただき、『想定通りの動きを実現できているか(性能評価)』を確認してください。
機能を知っているIT屋をパートナーに、皆さんは『業務(医薬品の製造。特に製品品質に関連するもの)』を考え、コンピュータ化システムへ要求、そして要求されたものが納品されていること検収すること。このことを念頭に置いて計画することで、“やるべきこと”がハッキリ見えてきます。
 

CASE02:リスクベースド・アプローチ?

CSV対応においてよく耳にする「リスクベースド・アプローチ」。意味は『リスク評価の結果をもとに、今ある“資源(ヒト・モノ・カネ・ジカン)”との兼ね合いを考慮し、リスクの抑止(コントロール)を行うこと』となります。難しい考え方ですが、簡単に言ってしまうと『今できる最大限で、重要なリスクから優先して対処しましょう。無理しても良いことありませんよ。』ということです。(少し乱暴な言い方ですが)
CASE01の状況でよくある、『CSV対応を、ガイドライン通りにやろうとすると、人(知識)も時間も不足している(=だから、コンピュータシステムの導入は諦めよう)』となってしまう場合に、『本当にその“ガイドライン通りに”の内容が、リスクを低減する/抑止するのに妥当なのか?(過剰ではないか)』と考え、『過剰な部分を削り、現状の資源内でリスクの低減/抑止を実現する』と考える方法です。こうすることで、現在の利用可能な資源(ヒト・モノ・カネ・ジカン)の中で、無理なくCSV対応を行うことが可能になります。
この考え方自体は2002年頃にFDAが始めた考え方で、監査を受ける製薬メーカーにも、同様の考えで取り組むようにと言われていますね。
ただしここで注意点。決して『資源が足りないから、(リスクを低減、または排除できていないけど)対応はここまで』ではダメです。あくまで主目的は『リスクを抑えられるかどうか』にあります。リスクを放置しては、医薬品製造の根底にある『患者さんへ安心安全な医薬品を恒常的に届けること』に反してしまいますので。
では、どのように考えればよいのか、一例を下図に纏めてみました。

このように、肝になるのは『リスク評価(アセスメント)』です。ここでの評価結果が方向性を決める事となりますので、“製品品質に影響する可能性”を十分に考慮し、リスクを洗い出すことが重要です。その後、リスクへの対策としてCSV対応の各工程を実施していくことになりますが、ここに『リスクベースド・アプローチ』の考え方を取り入れ、高リスクへの対応では資源を十分に活用し、低リスクへの対応には相応の資源に抑える、という“最適な資源分配”を行うことがポイントになります。

 

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