その数字って本当?(ニュースを透かして見てみる)【第7回】

2016/04/01 その他

■「怪しい」に騙されない7カ条
 
 このコラムのテーマは「数字」には騙されないということですが、私の個人的主張としては、疑似科学にも騙されないということでもあります。
 この「疑似科学」というもの、一見科学のように見えますが、実はオカルトのようなものであることが多く、科学に化けるにあたってよく「数字」が利用されることがあります。同様に、日々我々が見かける「健康」に纏わる食品や器具についても「科学的ではない」根拠で我々を魅了します。人は、具体的な数字を見るとなにやら信憑性を感じるようです。
 
 その他に数字だけではなく、人は権威などにも影響を受けてしまう傾向があるようです。そこで、今回は「怪しい健康食品」や「怪しい健康グッズ」が提供する情報を見極めるための手法について述べようと思います。ほとんどの場合、共通する手法が見られますので、皆様も手元にある雑誌や深夜によく流されているショッピング専門番組を併せてご覧下さい。
 
(1)その分野の「専門家」や「研究者」が推奨している。
 お昼の情報番組などでは、日替わりで「体にいい」と言われる食べ物やサプリメントが紹介されています。そこには必ず「お医者様」やその道の「専門家」、「先生」が出演して、テーマになっているものがいかに体にいいかについて解説してくれます。それが大学の先生であったり、どこかの町のお医者さんであったりといろいろですが、まあ、毒でもない限り大抵の食品は通常の栄養として「体にいい」はずですから、その「効能、効果」を断言しない限り問題はないのですが、問題は「その先生だけが言っている」のかもしれないですし、「反復して行われた実験による再現性」が確認されておらず多角的な科学的な裏付けがない場合があります。
 
(2)著名なテレビ、ラジオ、新聞で紹介されていた。また、それらの著名なマスコミでCMや広告をしている。
 有名な番組で紹介されていたからといって、それが科学的だとは限りません。テレビ番組などでは、一時期問題となった「過剰な編集」や「捏造」の問題もあります。番組内でよく実験などを行ったりしていますが、はじめに結論ありきで、都合の良い場面や一部分だけをクローズアップして放送することにも問題があります。放送の際には、その実験の条件について提示すべきでしょうし、その検証過程では再現性は確認されているとか、偶然性や人為的操作の可能性はなかったのかについて確認する必要があると思われます。

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執筆者について

山内 英作

経歴 株式会社メッドチャム代表。
1986年日本オルガノン株式会社入社後、向精神薬、麻酔科用薬剤の臨床開発を担当。1992年よりアラガン株式会社にて、オーファンドラッグの開発および申請を行うとともに、生物統計・DM、CSVのマネジメントを行う。2007年より大学発製薬ベンチャーで眼科用薬剤の開発部長職を従事後、2009年から医薬品と医療機器の開発コンサルタントとして独立。現在、北海道の製薬ベンチャー開発担当役員を兼任。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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