製薬用水の実践知識【第7回】凝集分離の話

はじめに
 雨水をろ過して殺菌すれば飲料水になりますが、ろ過のみでは水に溶解している成分や微粒子を、取り除くことはできません。
この単なるろ過にては除去できない溶解性の物質、および微粒子を対象とする分離技術として、凝集という操作を行います。今回は、ろ過に次いで、前処理として重要な単位操作である凝集分離についてお話します。
 
1.凝集分離
 水中に存在する細かい濁質は一般にマイナスの帯電を持っています。ここに凝集剤と呼んでいる硫酸アルミ、あるいは塩化第二鉄を加えると、プラスの帯電を持つアルミや鉄が濁質と結合して「フロック」と称する固形物を作ります。
このとき、濁質ばかりでなく、溶解性の無機イオンや有機物もフロックに取り込まれます。このフロックと上澄みを、固液分離する方法が凝集分離です。

図1 凝集の概念図
 
 凝集分離においては、凝集剤の種類・添加量・pHを変化させて最適な凝集条件を決定しなければなりません。
凝集条件を決定するには、ビーカーを数個ならべ、設定した回転数にて攪拌ができ、一度に凝集状況を把握できるジャーテスターという器具を用いて試験を行います。
 このジャーテスターによる試験は凝集分離装置が稼働後も、少なくとも年1回は実施して、供給水の変動に伴う凝集条件変化を確かめる必要があります。
 フロックの主成分は、アルミや鉄の水酸化物でありますが、これらのフロックは微細であり、上澄みを得るために固液分離するのにある程度時間を要します。
 この対処として高分子凝集助剤をフロック形成後に添加すると、フロック径が大きくなり、固液分離がし易くなります。
 ただし、この高分子凝集剤は過剰添加になると、後段のイオン交換樹脂やRO膜を閉塞させるため、用水処理において使用は極限定的であります。

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