エッセイ:エイジング話【第22回】

Cold WFIと蒸留水 

 Cold WFI という概念が欧州を中心に広まってきました。今回はCold WFIと蒸留水のエイジングを取り上げます。
 WFIは注射のために使う用途がごく限定された製薬用水であり、長きにわたり蒸留によって製造されました。各国の行政当局から唯一WFI製造方法として定められていました。
 海水を蒸発させた水蒸気を凝縮させると飲用に適する淡水が製造できることから、雨が少ない離島や砂漠地帯では、蒸留によって飲料水を製造しました。
 ただ、蒸留装置には2つ問題点がありました。熱エネルギーが多く必要なことと、装置の性能維持に保守が不可欠なことでした。
 今から半世紀前になりますが、堀江謙一さんが太平洋をヨットで横断されました。二度目の航海の時には、飲料水を得るために海水淡水化用ROを搭載されました。
 


 神奈川県の港に帰着時には、大きくTVニュースで取り上げられ、海水を淡水化できる膜技術が、広く知られるようになったのです。世界各地で使われていた海水淡水化用蒸留装置は、保守が簡単なRO装置への代替化が進みました。
 日本薬局方には32年前まで、「注射用蒸留水」という項目が各条欄にありました。筆者が勤務した水質試験室においては、水道水から製した「蒸留水」が常に準備され、高純度が求められる試薬の調製用水に使いました。
   

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