医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第10回】

2020/11/27 品質システム

佐野 旭

国内製薬企業のGlobal Standardの必要性について

1、    医薬品工場における現状
近い将来、国内製薬企業が海外へ進出する場合は当然ですが、国内のみで医薬品生産業務を行う場合であっても、国際的なGlobal Standardは大変重要で必要不可欠となります。なぜなら、社会的に国際化が進んでいてReach(化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU欧州連合法規制)やEC(欧州共同体)の規制が及んでいない日本の現状があります。然し乍ら、日本国在住の外国人の数が増え、彼らの疑問に動かされたのか国内対応が進んできつつあります。行政は後手にしか動かないことは周知の事実でありますが、国内社会では少しずつ具体的な人の健康への影響などを厳しく求められるようなってきました。その重要性を事前情報として入手し、対応している企業と何それ?と会社上層部が知らなかったという企業では生き残りに大きく影響するのではないかと懸念をしております。すでに海外へ進出している企業の工場では、この問題に対応して世界的な規制に対応を余儀なくされて仕事をしていますが、国内企業の工場では、国外の規制には目もくれないで仕事をされていることと思います。国内法の最低限基準を遵守という文化が根強いお国柄なのですね。しかし、今後は国内のみで活動をしている会社にも国内社会が国際化していることから行政に対する不信感が募り、島国官僚は疎く、民間企業の生産活動に不都合な急展開の行政指導が出てきたときに窮地に追いやられる懸念があります。Global Standardをお持ちの企業や作成をしている企業では、何故この規制に対応したStandardにするのかを疑問視したり、議論したりしていますので問題意識が高くこれらの対応がスムースに出来る免疫が出来ているものと思います。国民の健康を重要視する欧米の規制に対してまだまだ技術的には取り込めていない(良い事例が化学物質の曝露管理規制)現状の日本があります。一方、日本国内の規制がEU(欧州連合)の規制より、厳しい場合がいくつかあります。これらは国際的に考えると、厳しくすれば厳しいほどレベルが高いのではと勘違いしている日本の規制があることを運用上知る必要があります。必要以上に厳しい基準を設けて運用することの国家的不利益を理解できていない日本の行政が日本国民としてはずかしいですね。

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執筆者について

佐野 旭

経歴

外資系医薬品会社に入社後、建設プロジェクトや設備保全などを担当し、また関連会社においては、医薬品の検査・包装にも携わりました。その後は工場のHSE Managerとして工場長と共にHSE Global Standardの社内への浸透をさせるべく事業所内教育に力を注ぐ傍ら、たびたび海外の事業所へAuditに出かけてHSE Global Standardの重要性を身をもって学びました。
M&Aが始まり7回の会社統合を経験し、そのたびに工場閉鎖が発生し、その環境影響評価と土壌汚染対策を担当しました。
又、会社統合のたびにGlobal Standardが変わり、Global Standardの体質まで学ぶことになりました。
2006年に退職後、コンサルタント会社を設立し、今までの経験を生かしてHSEのアドバイザーとして、企業のHSE導入サポート、企業内教育、HSE Audit、社内教育、講演、講習会、建設プロジェクトサポートなどの仕事をさせて頂いて多くの企業様、学校、行政関係様にお世話になり、現在に至っております。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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