通訳あるあるネタ【第27回】

2020/09/18 品質システム

今回は、よく耳にするけれど実は意味の違いがよくわからない表現を解説します。

1.    Delegation vs. Empowerment 
GCPで頻出する delegation log(治験責任医師がどの業務を誰に分担させるのかを具体的に記した記録)。ビジネス英語では、delegation とempowermentが時にinterchangeableに(同じ意味で)使われますが、実は意味が少し違います。

Delegation: Assigning tasks to your direct reports →部下にタスクを委譲する

Empowerment: Seeking to give your direct reports more authority with the aim of developing their commitment, enthusiasm and expertise (“making their own decisions along the way and taking ownership of the work”)→コミットメント、熱意、専門性を育てる目的で部下に権限を委譲する(タスクを遂行する中で意思決定を行い、自分の仕事にオーナーシップ[責任感]を持つ)

両者を的確に表現する日本語が思いつかないので、私は「デリゲーション」、「エンパワーメント」とカタカナで訳すことが多いです。次に挙げる「エンゲージメント」や「コミットメント」も同様ですが、適切な和訳が出来ずにカタカナにすると、「結果にコミットする」、「エンゲージメントを高める」のように、わかるようでわからない表現が増えて、通訳者の悩みの種です。それぞれの言葉が何を意味するのかをきちんと理解し、聞いている人が直感的にわかる訳出ができるように、日々精進です。

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執筆者について

西手 夕香里(通訳・翻訳修士)

経歴 シミックホールディングス株式会社人財部Senior Interpreter
シミックファーマサイエンス株式会社信頼性保証本部薬事スタッフ(通訳担当)
Monterey institute of international studies (MIIS) 通訳翻訳修士課程終了。自動車関連大手企業で8年 (うち米国勤務が7年) 、米国系大手製薬企業で3年、社内通訳経験を積んだ後に独立。
規制当局によるGxP査察の通訳を中心に医薬分野でフリーランス通訳をしていたが、グループ会社の査察通訳がきっかけで2016年5月にシミックホールディングスに入社。非臨床と臨床を中心に、基礎研究から市販後までのプロジェクトに通訳・翻訳者として関わる。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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