基礎から学ぶeCTD【第2回】

はじめに
 eCTDは、グローバルで共通な仕様と各地域固有の仕様があり、第1回目では、前者の基礎的な知識について解説した。今回は、後者のなかで、日本固有の仕様について、解説する。
 eCTDの各地域固有の仕様のうち、日米欧の規制当局で大きく異なっているのが、日本の仕様である。このローカル仕様は、グローバルに医薬品の承認申請を行っている企業においては、各規制当局向けのeCTD編纂プロセスを構築する際、共通(コモン)化の妨げになっていることは否めない。また、日本が主な申請先の企業でも、ビジネスプロセスが他の規制当局向けの申請に比べて、複雑にしていることも確かである。しかし、仕様として存在する以上、その内容を理解し、対応することが求められているのも確かである

1.    日本固有のeCTD仕様
 CTDはM2~M5がICHで調和した規制であり、M1は各極の行政情報として、各地域に特異的な情報が含まれるため、地域毎に異なる。従って、eCTDはM1からM5までのすべてのモジュールを含むが、M1については地域毎に仕様が異なっている。特に、日本の場合、他の地域がM1についてもDTDを用いてM1の構造を定義しているのに対し、スキーマを用いて定義している。更に、日本ではeCTDの電子的な仕様上、他の地域と全く異なる以下に示す要求事項がある。
・    eCTDのライフサイクル
・    改訂時のeCTDインスタンス
・    改訂時のハイパーテキストリンクの修正
これらが仕様について、次章から解説する。

2.    日本のeCTDのライフサイクル
 eCTD取扱い通知では、「日本におけるeCTDのライフサイクル管理とは、個々の申請において、申請資料の追加・変更等の管理を行うこととし、一製品における新規申請、一部変更申請等を一括して管理するものではないものとする。」と規定されている。具体的には、新有効成分含有医薬品の承認申請を初回eCTD申請後(提出連続番号:0000)、申請資料の追加修正等を4回行い承認で取得したとする(提出連続番号:0003)。その後、当該薬剤について、剤形変更を行い新剤形医薬品としての承認申請を行う場合、日本では、新たな承認申請として、提出連続番号が0000から開始する。一方、他の地域では、製品のライフサイクルとeCTDのライフサイクルが連動しているので、剤形変更の承認取得は提出連続番号0004から開始する。このように日本では、ライフサイクルの管理単位が申請毎である。
 従って、グローバルに医薬品を申請する企業においては、日本と日本以外の申請について、ライフサイクルを管理するシステムが必要になる。

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