医薬生産経営論・番外編(ひとつの高校野球論)【第4回】

高校野球が嫌いな人も少なくはない。

その理由の多くは、こうるさい規則が多いからだと言う。

 

アルプススタンドに応援に行けば、選手個人名の幟はダメだと言われるし、地方の民謡を踊ることも禁止、ブラスバンドは自チームの攻撃の時以外の演奏は禁止。なによりも、試合前に応援内容を高野連に申請し許可を得なければならないし、5回終了時に、それまでの応援に問題はなかったか、高野連に確認しなければならない。

 

選手がベンチの中に持ち込むことが出来るメガホンの数も5個までと決まっている。不思議である。

ユニフォーム、バッティング用手袋、スパイク、帽子に、運動用品メーカーの商標マークやロゴを入れることも禁止。ただし、バットには許され、グラブには4㎝×7㎝の大きさまでなら許される。

理由は、「高校野球は教育の一環」であり、商業主義の影響から球児を守るため、とのことである。

 

尤もらしい理由であるが、サッカーやバレーボールなど、他の高校スポーツではこれらは殆どすべて許可されている。高野連の言葉を斜に受け止めれば、サッカーやバレーボールは高校スポーツであっても教育の一環ではないのだろう。

 

さらに解らないのは、甲子園大会に出場できる選手数(登録選手数: ベンチ入り選手数)である。

ほとんどの地区予選では20名まで登録できるのに、甲子園では18名までである。地区大会に出場した20名の中から、やっと甲子園大会に出られたのに、予選に出場した選手の中から2名を外すのは監督にとって極めて辛い仕事である。甲子園大会の試合数が地区大会よりも少ない訳ではない。甲子園大会で優勝するには6試合に勝利しなければならない。しかも、相手は各地区の予選を勝ち抜いてきた強豪校ばかりである。高野連は言うだろう、登録選手数を増やせば、部員数の多い(私立の)高校が有利になるからだ、と。しかし、前述のとおり、現実は、私立高校でなければ、甲子園大会では優勝できない。

 

また、かつての池田高校(徳島)や中村高校(高知)のような、部員数が少なくても甲子園大会に出場し大活躍するようなチームは極めて稀な例外であるし、今後、そんな高校チームが出現する確率はゼロに限りなく近いと思う。なぜなら、そんなチームには超高校級の投手(池田・畠山投手、中村・山沖投手)が不可欠であるが、そんな優れた投手は、現在では必ず、中学卒業時点でどこかの高校にスカウトされるからである。それだけ、現在の高校のスカウト網は広がっているし、公立高校でさえ、県外中学生を特別入学枠の中でスカウトする時代になっているのである。また、灼熱の夏の盛りに、甲子園大会に出る、そして大活躍するためには、最も運動量を必要とするポジションの投手については5名、捕手は3名、登録することが望ましい。従って、登録選手が18名ならば、残る7つのポジションを10名で負担することになる。どうしても外野手の数は少なくなる。複数のポジションを守れるユーティリティ選手が多いチームが有利となる。むしろ、20名にすればそんな選手の少ない公立高校に有利となるのではないか。
 

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