中国等海外原薬の品質確保と調達リスク回避の考え方【第2回】

2. 情報収集とその重要性
前回、本連載の初回では中国等原薬の日本への導入・普及の経緯、カントリーリスクへの対応の考え方、また、大気汚染など環境問題と原薬調達の関連などについて概説しました。
今回からは、これら原薬の品質確保と調達リスク回避という点について、順次、考察を進めたいと思います。
 
2.1原薬の探索方法と留意点
必要な原薬の探索方法としては、商社(輸入業者)への調査依頼のほか、インターネットによる検索、国際医薬品原料中間体展(CPhI)など関連の展示会での情報収集などがありますが、いずれの場合も目的とする原薬の規格などに関する情報のほかGMP認定やISO認証の取得状況など、その製造所の信頼性の根拠となる周辺情報を合わせて収集することが重要となります。
 
インターネットから得られる情報は、あくまで参考としての活用が前提であり、ホームページ等で確認できた原薬であっても今は実際には製造されていない、逆に、ホームページに掲載されていないものでも商社などを通して調査すると製造販売されていることが判明し、サンプルも入手できるといったケースも見られます。こういったことは、各製造所のホームページが必ずしもタイムリーにアップデートされていないことなどが理由と考えられますが、いずれにしてもネット情報は概略を知るための参考情報と位置付けて対応するのがよいと思われます。
 
CPhI等の国際的な展示会への参加は必要とする原薬の探索という目的のほかに、原薬の製造や開発に関する世の中の大きな流れ、潮流といったものを五感で感じとることができるという点においても有意義な場と考えられ、品質保証や調達部門のほか開発部門のメンバーの参加も期待されます。
こういった展示会の場は、各社の展示ブースを訪問し先方の担当者と会話を交わすことで、より詳細で固有の情報を得るチャンスであると同時に、普段、実際に会って話すことが難しい海外の製造所の方と面談する恰好の機会でもあります。面談を希望する場合は、日程調整に加え面談目的など要点を事前に、箇条で文書にして先方に伝えておくと、混み合ったスケジュールの中の短時間の面談でも有意義な結果を得ることができるでしょう。なお、このような場合、事情の分かっている商社と連携すると、一連の調整が効率よく運ぶことは周知のとおりです。

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