「マラソン」第13回

33 100mile達成なるか!?
再び伏見稲荷からスタートする、残り25キロ。
走り始めてみて、身体の動きが軽くなっていた。
夜中のことが嘘だったように私の身体は動き、普通に走れるようになっていた。
同行者が来るまで1時間程度休憩したのもあったが、ここまで135キロも走ってきたのにも関わらず不思議なものだ。
知り合いが言っていたことを思い出した。
距離が長ければ長くなるほど、体調はその中で刻々と変化し、悪くなったと思いきや回復することもある、言っていたのだがそれを体感出来た時であった。

10キロほど進むとさらに仲間が増えた。
私が山を走りだして初めて仲間となった人だった。

そのような人たちに応援されながら後残り約10キロを進む。
最初の頃よく来た大文字山を越え、最後の比叡山に差し掛かった。

ついに終わりが来る。
私は元気いっぱいで、最後のウイニングランを満喫した。
そして私の家の少し手前で時計は160キロを指した。

「やった!」
私は、時計を止めた。

家に帰り、宅配ピザを注文し、皆で祝杯をあげた。
徹夜で走ったが意外と元気で、信越五岳の時のようにビールがおいしくないということもなかった。
もちろんレースではなく、そこまで早く走っていないからということもあるのだろう。
そんな楽しい時間を過ごしていた時、ふと私は気づくのであった。

「あれ!?」
時計を見ると距離が99mileとなっているではないか。
よく考えると1mileは1.61キロ、正確には約161キロで100mileとなるのだ。
私は160キロ地点で時計を止めてしまった。

「しまった!」
皆に、笑われた。
私は結局『100マイラー』にはなれなかったのである。

ただ、これで目標達成かなと思いながら、その後も余韻に浸りながらのんびり過ごしていた。
そしてこの年も、私の走りたい信越五岳100mileは開催されなかった。
次の年、ウルトラトレイルマウントフジは開催されたのだが、私はエントリーしなかった。

「もう、100mileは良いかな。」
そう思っていた2022年の春先、信越五岳トレイルランニングレースの案内がHPに掲載された。
どうせ前と同じで100キロ以上のレースを2本走っていないと出られないと思いながら、一応参加要件を見てみることとした。

 

 

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