「マラソン」第1回
~プロローグ~
私は、今、トライアスロンをしている。
読者の方の多くは、トライアスロンを苛酷な競技だと思うだろう。
トライアスロンもショートからロングまで距離も様々。
今年の7月は、ショートのレースの一週間後にロングのレースに出る予定である。
ショートは、水泳1キロ、自転車40キロ、ラン10キロ。
ロングは、水泳3キロ、自転車140キロ、ラン40キロ。
これを1週間でこなすのだ。
頭がおかしい、と言われても仕方がない気もする。
昔の私ならそう思っていたはずだからだ。
ただ、今の私は、まったく普通の感覚である。
なんなら山を100mile(161キロ)走るよりは、相当短い時間で終わる、半日もかからないし、などと思ってしまう。
100mile…
何を言っているんだ?と皆さん思っているのではないだろうか。
山を走る…巷ではトレイルランニング(略すと“トレラン”)と言われているが、現在のトレイルランニングを行っている方々の一定数は100mileのレースの完走を目指している。
少し前の私もそうだった。
私が100mileのトレイルランニングレースを完走するまで、そして完走した後のことを記事にしようと思う。
おおよそ7年間、まったくランニングをしていなかった私が、山を100mileまでの過程をもしよければお楽しみいただきたい。
申し遅れたが、京都一周トレイルを遊び場にしているため、「京一さん」と呼んでいただければありがたい。
1 山を走る?
7年前、私は、まったくランニングもせず、山登りの経験もなかった。
社会人で草野球を少ししていたくらいだ。
なんなら長距離は絶対走りたくないと当時思っていたし、どちらかというと瞬発系だとも思っていたため、走るにしても野球の塁間(約27m)くらいがちょうどよいくらいだった。
今もそうだが、どちらかというとランナー体型でもない。(前は力道山(昔の有名なレスラー)に似ているとか、今でもラガーマン、格闘家などと未だに言われている…。)
当時、過去職場が同じであった上司に、山に誘われた。
京都の嵐山の少し北側にある「愛宕山」への登山であった。
頂上には愛宕神社があり、そこで手に入れることができる『火廼要慎(ひのようじん)』のお札は、家庭や飲食店の台所には、よく供えられている。
7月31日の夜に愛宕神社へお参りすると千日分参拝したご利益にあやかれるという『千日詣』は京都の夏の風物詩としてあまりにも有名である。
時期は2月。流石に寒い。初登山だというのになぜこのような時期に?
少し雪があり景色が綺麗だということを言われ、強引に誘われ、元上司からの誘い(命令)のため渋々ついて行ってみることとした。
その時のメンバーに、面識はあったものの、あまりやり取りしていない方も参加していた。
その方が実は、オジサマトレイルランナーだったのだ。
厚着をして愛宕山を登り出すと意外とそこまで寒くなく、むしろ汗を結構かいた。
「スタン!スタタタン!」
人が走って山を下ってくる。
それも我々よりよっぽどの軽装でだ。
そんな颯爽と山を走って下っていく人たちを見た。
オジサマ「あれはトレランをやっている人だね。私もやってるよ~」
京一 「トレラン?それなんすか??」
オジサマ「山や不整地を走るってことだね、トレイルランニングの略だよ~」
京一 「山を走る!?しんどくないですか?なんでそんなことするんです?」
オジサマ「走るっていっても登りは歩いたりするよ~、なんでって楽しいからw」
京一 「そうですか…」
2時間ほどかけて、山頂へ。確かに雪があり綺麗だった。
ただ、止まると汗によって余計寒く感じたのを覚えている。
山頂で温かい飲み物や食べ物を飲んだり、食べたりした。
運動をしたせいか、おいしいなと感じたし、景色も良いので山って良いなと感じた。
その日はそれで終わったが、私は山登りが思った以上に良かったのとそこまでしんどくなかったのもあり、次の日(日曜)にもう一度、愛宕山を登ってみることにした。
一人で山頂まで登ってみた。
やはり気持ちが良い。
もともと運動も好きであったため、今後も山に行こうと思いながら山を下っていた。
「スタン!スタタタン!」
そこで、またトレランをしている人を見た。
下り走るの怖くないのか?と思いながら恐る恐る下りを走ってみることにした。
「楽しい!」
その勢いで下山。早々に下山することができた。
(※普通の靴ではすべりますのでマネしないでください。トレラン専用の靴をオススメします。)
私のイメージでは子供のころ、アスレチックで遊んでいたときのような楽しさがあった。(※ただ、その後、他のトレイルランナーに言ってもあまり理解はされていません。)
そんな良い気分で帰路へ。バス・電車を乗り継ぎ自宅へ。
運動をしたためお酒も食べ物も美味しい。良いことづくしだ。
と幸福の中、その日は就寝した。
「足が痛い!!!!」
次の日、起きたら驚くほど足全体が痛かった。
筋肉痛だ。
今までの人生の中で一番の筋肉痛になったようなインパクトがあるものであった。
「トレランなんてもうやるもんか…」
とは思わなかったのだ。
むしろ、私の身体の衰えのせいだ、鍛えなおさなくては、と思ってしまったのだ。
ここから1年近く、トレランと呼べるのかわからないが山に一人で行くようになる。
ただ、最初の1年間は、特に毎週、ワクワク・ドキドキしながら山に行っていた。
私の人生は、この日を境に大きく変わることとなった。
山を走ること、今の私には欠くことができないものである。
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