新法令によるハラール認証制度の変更

2018/01/05 その他

2014年に発表されたハラール認証に関する新法令は、2019年に適用される予定である。本記事では、新法令のハラール認証制度における変更点および無変更点を述べる。
最初に,本記事で使用する用語の説明を行う。
●BPJPH (Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal) : ハラール認証制度を管理するために設立された政府機関
●LPH (Lembaga Pemeriksa Halal) : ハラールの審査を行う組織
●MUI (Majelis Ulama Indonesia) : インドネシアにおけるムスリムを保護する組織
●LPPOM MUI (Lembaga Pengkajian Pangan Obat-obatan dan kosmetika MUI) :
食品や医薬品等のハラール認証に関して、審査や発行を行うMUIの部門
 
新法令におけるハラール認証制度の変更点は以下の通りである。
1. 総管理者・責任者を、LPPOM MUIからBPJPHに変更する。BPJPHは以下の権利
  を有する。
a. ハラール認証の保証に関する基準や手順等を決定する。
b. ハラール認証の発行及び取り消しを行う。
c. 輸入品に対するハラール認証の登録を行う。
d. ハラール製品に関する教育や広告等を行う。
e. LPHに対する認定を行う。
f. ハラール監査役(LPHに所属し、ハラール認証を依頼した会社に対して原材料や
   製造工程の検査を審査時に行う。)の登録と教育を行う。
g. 商品のハラール認証の保証を監視する。
h. 海外のハラール認証を行う組織と協力する。
2. ハラール認証を受ける商品に対する審査はLPPOM MUIからLPHに変更となる。
  政府や国民もLPHを設立することが出来る。LPHは以下の基準を満たさなけれ
  ばならない。
a. 事務所および設備を有する。
b. BPJPHから認定を受ける。
c. 3人以上のハラール監査役が所属している。
d. 実験室を所有する、または実験室を所有する組織や会社と協力している。
3. ハラール商品を製造する会社はハラール監督(全ての段階においてハラール基準
  を満たすことの責任を持つ人。審査時には、監査役に説明し、質問に答える。)
  を所属させなければならない。
a. ハラールの製造工程を監視する。
b. 改良や予防を行う。
c. 審査時にハラール監査役を同行する。
4. インドネシアでハラールとして販売する商品はハラール認証をとることが義務と
  なる。また、ハラール認証を受けた商品についてはハラールマークを付けなけれ
  ばならない。そして、ハラールではない商品を販売する場合は「ハラールではな
  い」と明示しなければならない。
5. ハラール認証の有効期限は2年から4年になる。
6. ハラール認証制度に違反した場合は注意、罰金、懲役等の罰を与える。

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執筆者について

ラディスティア エカヤントリ ズリキフリ

経歴 2010年来日。2014年、国立沼津高等専門学校物質工学科卒業。古紙パルプのリサイクルを専門の研究に従事し、日本化学東海支部長賞を受賞。2015年USA MRS (Material Research Society) 国際学会に参加。
2016年、国立大学法人山形大学物質化学工学科において、薄膜太陽電池の研究に従事。
2016年、株式会社シーエムプラスに入社。エンジニアリング事業部所属。同社にて細胞調整センターの生産機器選定やバリデーション図書作成の業務、固形製剤工場のユーザー要求仕様書翻訳の支援、固形製剤工場の生産機器選定や図書作成の支援に携わる。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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