ラボ・生産設備における省エネルギー化【第7回】
1.GMP施設における空調熱源の特徴
GMP施設で用いられる空調熱源の特徴として以下の点があげられると思います。
(a)GMP施設での空調設備の特徴はクリーンルーム内の温湿度条件が非常に厳密で、一般空調のそれと比較して夏期は低く、冬は高く設定する必要があること
(b)清浄度を維持するため、また局所排気量が多いことで、大量の外気が必要となり、外気負荷大きくなることと、負荷の年間及び日変動が大きいこと。
(c)除湿運転のために温熱源と冷熱源が同時稼働し、その運転時間が長いこと。
これらの諸特性からGMP施設での熱源方式は中央式が採用されることが多いと思います。また小規模施設ではパッケージ空調システムを用いたものもありますが機器の故障時対応、運転管理、監視の煩雑性などの問題も有しています。
2.冷熱源とその省エネルギー対策
冷熱源として用いられる機器としては冷凍機がありますが、種類はいろいろです。大別して水を使用するものと、冷媒ガスを直接用いたものがありますが、温度制御の容易さから水を用いたシステムが採用されることが多いと思います。
冷媒ガスの直接膨張型は一般にはパッケージ型空調機に用いられますが、GMP施設で使用する場合どうしても過冷却、再熱ロスなどが生じ、エネルギーを無駄に消費する傾向があります。また、特に外気負荷変動が大きいので負荷制御が難しい点も一つの特徴として挙げられます。
このように運転安定性の視点から、中央式空調熱源システムが採用される大きな理由と考えられます。今回は、パッケージ式空調方式は検討せず、中央熱源方式に対象を絞り説明をしたいと思います。
2.1冷水出口温度の見直し
一般に冷凍機は出口温度を高くすることにより効率を大幅に改善することができます。特にGMP施設の空調設備においては夏期期間、除湿のために低温の水を供給する必要がありますが、一時期を除けばそれほどの低水温を必要としないことがほとんどです。中間期は除湿負荷が少なくなりますので、冷水出口を外気温湿度により制御することは大きな省エネルギー対策となります。下図は大型冷凍機での出口温度と機器効率の特性を示したものです。これらの数値はメーカーにより異なりますので、採用の際には十分検討のうえ対策を実施して下さい。水出口温度を2℃程度変化させると約5~8%程度の効率変化が生じます。
2.2更新時の高効率機の選定
更新時の冷熱源機器選定としては、負荷変動に追従でき、成績係数(COP)が高いものを選定します。更に排熱の利用が出来れば申し分ありません。冷凍機のCOPの選定目安としては次の通りです。更新の場合の吸収式冷凍機は一般に経年劣化が大きいので更新の効果は大きいと考えられます。
これらの数値は機器のメーカーあるいは容量によって大幅に異なりますし、負荷率、コンデンサ冷却温度、蒸発器温度によっても大きく変動する値ですのでご注意ください。また補機での使用電力を配慮しておりませんので、検討の際はこれら補機類のエネルギーを加味し、総合成績係数で比較検討するようにしてください。下図に各機器の姿図を示します。
各冷凍機の概略特徴を下表に示します。
最近では規制を外れる新冷媒も開発されておりますが、アンモニア圧縮、吸収冷凍機などによる脱フロンの冷凍機も環境保全の面で注目を集めています。
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