インドネシアにおける医薬品のハラール認証状況

はじめに
 インドネシアの人口は約2.4億人で、世界で4番目に人口が多い国である。さらにこれからも人口が増えていくと予測される。その中でイスラム教徒の人口比率は約87.2%、2億人である(Biro Pusat Statistik, 2010年度)。したがって、インドネシアに医薬品を販売するためにはイスラム教徒を考慮しなければならない。そのため、「ハラール」といわれるイスラム教徒にとって合法とされる食べ物や化粧品、日常生活に使われているものを理解する必要がある。
 
ハラールとハラームの違い(定義)
 「ハラール」とはアラビア語で「許される」という意味を持つ。イスラム教では、やってもよいこと、食べてもよい物、使ってもよい物などの、日常生活における全ての許されている行為を指している。
 それに対して、「ハラーム」とは禁じられている行為、という意味を持つ。イスラム教徒はハラールなものを選び、ハラームなものを避ける。製品がハラールだと分かるとその製品を安心して購入する。逆に、ハラールかどうかが不明である場合、購入をしたくない人も多い。
 その様な宗教的購買動機を持つ、イスラム教徒に対し、その製品がハラールであると証明するための方法の一つとして製品がハラール認証を受けることである。
 
ハラールとハラームなもの
 ハラール認証について説明する前に、どのようなものがハラールなのか、ハラームなのかを知るべきである。基本的にハラームとされない限りはハラールであるということを覚えよう。ハラームとされる条件は、ハラームの成分を含むことだけでなく、製造工程や混入の可能性も考慮している。具体的なハラール、ハラームについて下記に示す。
 
飲み薬やサプリメント、内用薬等
ハラール(許されるもの)
・殺さなくても手に入れられるもの(牛乳、羊毛等)。
・体に害がない植物。
・海のもの。
 
ハラーム
・豚由来:肉、骨、脂肪等、豚からとれた全てのもの。
・豚以外の家畜(牛、羊等):手に入れるために家畜を殺す必要があるもの
 (肉、脂肪等)はイスラム法に従って殺さなければならない。
 そうでなければハラームである。
・血:動物(海の生き物を除く)の血。
・アルコール:お酒(少量でも)。純粋アルコールの添加は1%未満になれば許される。
 
化粧品やぬり薬等、外用薬に対するハラールは、内用薬とほとんど同様であるがアルコールの制限はない。また、化粧のためではなく治療用であれば、外用薬はイスラム法で殺していない家畜由来のものを含んでも許されている(ただし豚由来以外)。
 

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