知的財産の基本から知財ミックスまで【第15回】

2023/08/18 その他

今回は創作非容易性について説明する。

 

意匠の登録要件について2

 前回は、意匠の登録要件のうち、主に新規性について説明したので、今回は創作非容易性について説明します。

1.創作非容易性
 意匠の創作非容易性とは、「出願した意匠が、その出願日よりも前に公然と知られた意匠、文献等に記載された意匠、またはこれらに類似する意匠に基づいて容易に創作できないこと」です。

 出願日よりも前に公然と知られた文献等に記載された意匠は、新規性と同様に、出願日前に公開されている意匠公報のみならず、新聞、雑誌、製品マニュアル、カタログなどのあらゆるものが該当します。インターネット等の電子媒体で公開されているものも該当します。

2.創作非容易性を満たさないとされる意匠の具体例
 創作非容易性を満たさないとされる意匠の具体例として、意匠審査基準(特許庁が作成し、意匠審査における意匠法の統一的な条文解釈及びその運用を図るためのもの)では、次の7つ事例が挙げられています。

(1)置き換え
 公知の帽子のワッペン部を、他のワッペンに置き換えて表したにすぎない意匠
 


(2) 寄せ集め
 公知の包装用容器と、公知の包装用容器の窓部を寄せ集めて表したにすぎない意匠


(3) 一部の構成の単なる削除
 公知のごみ箱の一部の構成を削除して表したにすぎない意匠


 

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執筆者について

高松 孝行

経歴

ブランシェ国際知的財産事務 共同代表弁理士。
茨城県出身。東京工業大学大学院にて原子核工学を専攻。大学院での研究経験を生かして、弁理士となる。特許事務所勤務を経て、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研))にて、医薬・医療機器関係の技術を含む技術移転業務に従事。数百社との技術移転交渉、1,000通を超える契約書作成を経験。産総研退職後、2015年3月事務所開設。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業カタライザーおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業アドバイザー等の公的機関の専門家として、医学部の教授、医師、医療機器メーカー、医療ベンチャー企業等の支援を行う。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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