基礎からのGPSP【第7回】

~安全性監視活動計画の作成②~

2. 安全性監視活動の変更・追加計画の検討
製造販売後調査等の実施中に、実施内容に変更が必要になった場合や、使用成績調査等の調査結果に基き、新たに検出された検討事項・懸念事項につき検証または確認するために追加の調査等が安全確保対策上必要と判断した場合は、追加の安全性監視計画や実施計画の変更・追加をすることができる。
2.1 変更・追加計画の検討
製造販売後調査の実施中は、安全性定期報告作成のための検討時や、個々の調査等の終了時など節目ごとに、計画の概要や個々の調査等の実施計画に変更の必要があるか、また、新たな調査等の追加の必要があるかにつき検討し、変更・追加の必要がある場合は、速やかに対応しなければならない。
(1) 変更計画
調査の進捗状況で予定していた症例数の収集が調査期間内に達成できない、製品の供給上の問題から調査等の開始が遅れてしまい、同じく達成できない場合は、調査等の目的を達成するために、調査期間等の変更をすることができる。しかしながら、この場合は単に期間延長のみでなく、調査の進捗を如何に促進するかの具体的な方策についても検討する必要がある。
合併や販売委託・共同プロモーションの開始など調査期間中に管理部門や実施部門等の体制が変更になることがままあるが、この場合、必要に応じ医薬品リスク管理計画書や実施計画書に変更が生じることがあるので、状況に応じ変更等の体制を明確に変更し、管理しておく必要がある。
また、実施中の調査で、調査項目等で軽微な追加や削除などの変更が必要となったとき、調査票等の軽微な形式の変更等が必要になったときにも、変更等が必要になった理由を明確にし、変更による影響等を検討し変更することも可能である。
(2) 追加計画
調査・試験の追加の必要性は、様々な状況から判断される。製造販売後調査中、当該医薬品に新たに認められたある特定な副作用報告に関する発現機序や要因を詳細に検討する必要が生じた場合、使用成績調査にて、ある特定要因での副作用発現頻度が高くなる可能性が検出され、それを確認し結果次第ではさらなる措置等が必要となるかを検証しなければならない場合など、また、これ以外にも様々な場合がある。
この段階では、調査・試験の目的がかなりはっきりしているので、特定使用成績調査や、製造販売後臨床試験により、焦点を絞った確認・検証ができる実施計画の策定が望まれる。速やかに結論を導き出し、適正な安全確保措置を講ずることが最終目的であることに留意し、結論を導きやすい実施計画を作成する必要があり、ひとつの調査・試験に様々な目的を組込み、結果の解釈を複雑化させることは絶対に避けなければならない。
例えば、使用成績調査から腎疾患の合併症を有する患者群で副作用発現頻度が高くなる傾向が認められた場合、特定使用成績調査にて定期的に腎機能検査を実施している症例を対象とし、腎機能の障害の程度と副作用発現頻度との関連性を確認することとした。このような場合、安全確保措置として「血清クレアチニン値で××以上は慎重投与対象となり、それ以下の場合は、腎機能の軽微な障害があったとしても特別の注意は必要ない」などの結論が得られるように、明確な検査基準により特定の症例選択基準の設定が可能な調査計画を立てる必要がある。
なお、このような場合、より明らかな基準を設定するために投与開始前や投与中の定期的な検査の実施を義務付け、日常診療下では捕捉しきれない検査結果等を得るために製造販売後臨床試験の計画を考慮する必要もある。
 
2.2 当局相談と変更
調査等の変更や追加にあたっては、必要に応じ当局に相談し、変更を明らかにした医薬品リスク管理計画書をPMDAに提出しなければならない。PMDAは、受領後1ヵ月以内に内容を検討し、変更及び追加につき了解等の回答をすることとなっている。
(1) 開発時における問題点
調査等の変更・追加にあたり、計画の変更が可能か、変更ではなく、別途追加調査として検討すべきであるかなど、判断しきれないときはPMDAに相談することができる。相談に当たっては、今回の措置を講ずる必要があると判断した理由及び検討している対応案等を明確にした相談票を事前に提示し、必要に応じ面談により助言等をしてくれることとなっている。また、製造販売後臨床試験の実施に当たっては、PMDAにおける対面助言業務として、臨床試験に関する詳細に関して指導・助言を受けることも可能である(有料となるが)。
また、小児等への特殊集団への用法・用量の確認のための臨床試験や、薬剤疫学的手法による調査等の新たな手法による確認を実施する場合は、必要により再審査期間の延長も可能であり、これらに関する事前相談もPMDAは受け付けている(簡易相談として無料であるが、試験等の実施内容の相談は対面助言業務となり有料)。
(2) 変更の提出
通知(薬食審査発/薬食安発0426平成24年4月26日付)にて示されているとおり、変更を予定する1ヵ月前に、変更の履歴欄に・変更内容の概要とその理由を明確に示し、必要に応じ変更・追加の実施計画の写しを添付してPMDAに提出する。

 

 

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