医薬品のモノづくりの歩み【第14回】

2023/01/27 品質システム

菱田 純

今回、医薬品の「モノづくり」における「安定供給」のための重要特性について紹介します。

「モノづくりカルチャー」と安定供給(2)

 前回から、医薬品の「モノづくり」と安定供給について話を進めてきました。今回、医薬品の「モノづくり」における「安定供給」のための重要特性について紹介します。
 医薬品の特殊性を踏まえた工場における安定供給とは、安定生産を継続して、適正な在庫を保持し、決められた期日までに製品を届けると言う「納期」を守ることにあります。そのためには、図1の特性要因図で示したような5つの大きな要因を挙げることができます。

図1 安定供給に関する特性要因図

 一つ目の生産計画とは、工場の各部門において納期を守るための基準になるものです。生産に向けた必要な情報を把握して適切な生産計画を立案し、それに基づいて関連部門がしっかり連携して生産活動を円滑に進められるようにする道標のようなもので、安定供給において、とても大きな要因の一つと言えます。特に医薬品の場合、GMP基準を遵守して製造を進めていくことが必要ですが、最近では、変更管理やCAPA計画を生産計画に適切に反映する機会が大変多くなってきています。

 次の安定稼働とは生産設備の安定稼働のことであり、設備は直接医薬品製造に使用される製造設備だけでなく、造水設備や空調設備のような製造支援設備を含めたものです。多品種少量である医薬品の製造では、通常一つの設備を兼用して使用します。従って、もし、設備の操作ミスや設備の故障が発生した場合、製造が中断され不良品の発生だけでなく、その設備で製造しているすべての製品の生産スケジュールに影響を及ぼします。その点から、設備の安定稼働は、安定供給の点でも大きな要因となってきます。

 

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執筆者について

菱田 純

経歴 1980年第一製薬株式会社(現第一三共株式会社)入社。固形製剤の製剤研究に従事したのち、生産部門に移動。工場建設、本社生産物流企画、工場分社化、2007年旧三共株式会社との事業統合に伴う生産会社(第一三共プロファーマ株式会社)設立などを担当し、生産に関わるプロジェクトや生産戦略企画実行を数多く経験した。2007年同社取締役経営管理部長、平塚工場長。2014年北里第一三共ワクチン株式会社取締役副社長生産本部長歴任後、現在に至る。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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