医薬品のモノづくりの歩み【第1回】

モノづくりの振り返りとクオリティカルチャー

執筆者の自己紹介および読者へのメッセージ!

 

 一般的に「モノづくり」は、基本要素であるQ(Quality 品質)、C(Cost 原価)、D(Delivery 納期)を適切に管理し、そのパフォーマンスレベルを評価することで、企業あるいは工場の強さを推し測ることができます。この3要素にT(technology 技術)、安全衛生、環境保全を加えて管理することもあります。
 日本の製造業は、予ては「モノづくり」大国あるいは技術大国と呼ばれていました。
資源を持たない国土の事情により、海外から原材料を輸入して付加価値のある製品(モノ)を加工し輸出する加工貿易により経済発展を遂げてきたことによります。
単に同じものを単純作業で製造するのではなく、常に創意工夫を重ねて更に付加価値のあるものに作り上げていこうとすることに、一般的に言われる製造業とは異なる日本の「モノづくり」の文化として築き上げられてきました。
 そこには、日本人の勤勉でまじめな性格と個人主義より全体主義を大事にし、社会のために、あるいは会社のために、みんなが協力し合ってモノを作り上げていこうとする国民性に支えられてきたことも挙げられます。その代表的なものが小集団活動です。
まさに、「モノづくり」のための様々な知識を習得して技術力を磨き改善を重ねて、より良いものをより安く、そして安定的に供給することで、グローバル競争に打ち勝ち、信頼と日本ブランドを築いてきました。
 その後、市場が海外に広がるグローバル競争が激化していきます。また、中国、インドを代表する第三国の経済発展の台頭に合わせて、国内企業は、より安い労働力を求めて、生産の拠点を中国や東南アジアなど海外に求めていきました。国内の生産工場は、相次いで閉鎖に追い込まれ、それまで培ってきた技術の伝承も希薄なものとなってきました。
 また、IT技術の進展と急速な情報化社会への変化は、ますます、新製品の開発から市場への投入の時間競争に経営資源を集中させることになってきました。
その結果として招いたのが、現在、頻繁に報道される製造現場での品質チェックの省略やデータの改ざんに見られるような、「モノづくり」文化の衰退とモラルの低下です。 このままでは、ますます日本の品質に対する信頼と日本ブランドが失われていきます。
 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます