ドマさんの徒然なるままに【第47話】The Longest Days


第47話:The Longest Days

序章

本話も師匠の古田土真一先生から聞いた経験談の中から、「へぇー、そんなこともあるんですかー!?」という話を先生に成り代わってお伝えしたいと思います。監査の話です。

先生によると、実施する立場/受ける立場を問わず、先生の数多い監査経験の中で、「コレッて何なんだ!?」とジレンマに陥った唯一の経験談とのことです。読者の皆さんが同様の経験をすることはまず無いと思いますので、直接的に役に立つ情報にはならないと思います。が、長いことQA業務なんてやっていると、こんなこともあったりするよとのことで、しかも、どんなことでも経験すると、それまで見えていなかった視点で物事を捉えられるのも事実だとのことです。そういう意味において、酒の肴の話といった感じで受け止めても良し、彼のご意見を教訓としても良しなんじゃないかと思います。

 

第1章:緊急依頼

ある日、上司から「ちょっと頼みたいことがある。」と個別の呼び出しを喰らった。いきなりの個別呼び出しは毎度のこと*1なので、特に驚くことではなく、「またかよ!」というのが本音であった。

要件は、再来週に臨床開発部が委託契約している治験薬デポ*2に、グループ本社筋(欧州ベース)からGCPとGMPの合同監査が2日間の予定で行われるので、その応対の支援をお願いしたいというものであった。具体的には臨床開発部と相談してくれというものであった。

 

第2章:それは勘違いから始まった!?

早速、臨床開発部の担当者に連絡をとった。欧州のグループ本社からGCPオーディター1名、オーストラリアと上海からGMPオーディター各1名(両名はAsia-Pacific Regionの担当者)が来るというものであった。臨床開発部からは、グループ本社から出向で来ている者1名を加えた計3名が出席するが、メインがGCP監査になると思うので、貴部(GMP担当)からは1名で十分とのことであった*3。さらに、私は英語が得意じゃないので通訳はどうなっているのか尋ねたら、あくまでメインはGCP監査なので、万が一GMPの話になった際のサポートだけしてくれれば、それで大丈夫とのことであった。今さら言うのも何であるが、そもそもこの解釈が間違いの元であった。GCPオーディターが1名、GMPオーディターが2名という数だけ見ても、GCPとGMPのどちらが主となるかは自明の理と言えるのだが・・・。

 

第3章:事前確認込みのGMP再監査の取り付け

当該委託先デポ、私の担当ではなかったので、GMP部門としての過去の監査の有無を確認したところ、1年半ほど前に一度実施したとのことであった。そこで監査報告書を確認したところ、マイナーな指摘が数点あるが、治験薬デポという位置づけを勘案すると合格レベルとのことであった。

既に1年半経過していること、再来週にグループ本社筋からの監査があることもあり、「急で申し訳ないが、来週に本社筋監査の事前確認込みで、弊社としてのGMP再監査を実施したい」旨でお願いしたところ、午後の3時間程度で良ければ可能ということで了解された。ということで、事前確認込みでのGMP再監査を実施した。

 

第4章:(治験薬)GMPでもGCPでもあるからね!

私としては初めての訪問ということもあり、デポの概要を筆頭に一通りの説明を受けた。当該デポ、包装表示保管区分としての医薬品製造業許可も取得しており、そのため製造管理者も居り、治験薬のQA業務(当時は、GMP省令においてもQA業務については曖昧であった)についても兼務しているとのことであった。そんなことから、製造管理者が説明をしてくれた。

全体説明後、現場ツアーを行った。前回の指摘事項も確認したが、改善されていた。ただ、今回はグループ本社筋からの目線での監査(当時はPIC/S加盟前であり、EU-GMPベース*4で医薬品との区別なし)となることから、指摘としてではなく、次週の本番に備えるべく注意すべき点を何点か伝えた。特に治験薬デポとしてのセキュリティ、温度管理、治験薬管理システムのIWRS/IVRS*5は必ずチェックされるのでと念押しし、該当するSOPや記録を直ぐに提示できるように準備しておくようにお願いした。少なくとも、治験薬の受託デポとしての役割を踏まえ、(治験薬)GMPおよびGCPとしてチェックされるポイントは理解してくれていると思っていたのだが・・・。

 

第5章:話が違うんじゃね!? そもそも通訳じゃねーし!

1日目、当該デポの概要からスタートし、運営体制の話へ。一通りの話が済むと、GMPとGCPの区別もないことから、全員で現場ツアーへ。ここまでは、GMP・GCPに関係なくお決まりの内容であることもあってか、また臨床開発部担当者は何度か訪れているのか、通訳すると言うよりは当該施設の者であるかのように英語で説明をしていた。

現場から会議室に戻り、休憩後に書面調査に入る。突然、本社筋から「GMPとGCPの担当を分けて進めたい。」という提案(依頼?)が。すると臨床開発部から「●●さん(私のことです)、GMPについてはお任せします。」と振られてしまった。「えっ、2つに分けるなんて話は聞いていないし、通訳もいないし。」と思った矢先に会議室を2分割し、臨床開発部3名は欧州からのGCPオーディターと書面調査を始めてしまった。「おい、臨床開発部さんよ、万が一GMPの話になった際のサポートだけとか言ってたよな!?」と思いつつ、それって「GMPの話はそちらだけでやってくださいの意味だったんか!?」と振り返っても、後の祭りであった。

 

第6章:質問の意図を汲み取れよ!

GMP側は、デポGMP担当者(当該施設の製造管理者)と上海・オーストラリアからのGMPオーディター2名と私の4名。デポのGMP担当者は「英語はまったく出来ません。」とのこと。「だったら通訳を用意しとけよ!」と思いつつ、きっと「御社の臨床の方から通訳不要と言われましたので。」と言われそうだしと思い、仕方なく下手くそな英語で通訳役を演じる。デポGMP担当者、監査に不慣れなだけでなく、どうも外人さんが苦手(たぶん海外からの監査は初めて)らしい。どぎまぎしているのが露骨に分かる。さらに、オーディター2名が矢継ぎ早に質問してくる。問題はここから始まる。

以下、オーディター(オ)/デポGMP担当者(デ)/私(私)の3名のヤリトリを会話形式、英語部分は赤字で、デポGMP担当者と私の間での内緒のヤリトリは青字で示す。

オ:●●のSOPと記録を見せてください。
私:●●のSOPはありますか? また、その記録はありますか? 見せてください。
デ:いや、ありません。
私:まったく同じ内容でなかったとしても、コレコレを確認したいようなので、それに関連するSOPや記録はありませんか?
デ:ありません。
私:そのまま伝えたら、間違いなく指摘になりますよ。このSOPにこんな形で盛り込んでいるとか、その点はこの記録から判断できるので、こういう形の記録で残しているとか何かありませんか?
デ:あー、それならば、こちらのSOPにこういう記録を残しています。
私:タイトルは違いますが、このSOPに従い、この形式で残しています。
オ:このSOPのタイトルは何ですか? この記録用紙のタイトルは?
私:直訳すれば、「■■に関する手順書」です。記録用紙のタイトルは「■■点検記録」となっています。
 

あくまで一例であるが、万事がこの調子であった。質問の長さの数倍の長い日本語での内輪話が続く羽目になる(ある意味、下手くそな英語で誤魔化して助かったとも言えるが・・・)。2名のオーディターから「胡散臭い」と思われても仕方ない状況。でも、デポGMP担当者の回答をそのまま伝えれば、ほぼ間違いなくヤバイ状況に陥る。挙句の果てには、「お前たち日本法人は、なんでこんなレベルのデポに委託したんだ!」とお叱りを受けそうに思える。この板挟み状態で、監査は延々と続く・・・。

 

第7章:俺は監査する側、それとも受ける側?

率直に言って、私は、どの立場に立って言えばいいんだ。ジレンマが半端ない。デポからの回答をメイキングはしていないが、オーディターの質問の意図が理解できることから、デポGMP担当者に「こう伝えるしかないんだよ!」とアドバイスしつつ、薄くても良いから証拠となる事実や根拠を探す。本来は委託側であるにも関わらず、なんでこんなことまでしなきゃならいんだよー。通訳役としたら、本来は中立の立場のはずだし。頭の中がぐちゃぐちゃになりそー。自分自身が監査を受けているより遥かにシンドイ。「もう勘弁してよ!?」と思ったら、まったく違う形で、新たな問題が・・・。

 

第8章:お前、席を立つんじゃねーよ!

このデポGMP担当者、いやデポ全体と言った方が的確かもしれないが、致命的な問題を抱えていた。要は、監査に不慣れということに加え、そもそもGMP担当メンバーが少ない(他に居ない?)ということが背景にあるものと思われるが、何か質問があるたびに、「そのSOPを持ってきますので、しばらくお待ちください。」と言って、席を立つのである。一度や二度ではない。その都度と言っても過言ではない。監査日時が分かっていたし、先週の事前確認の際にも「準備よろしく!」と伝えていたはず。にも関わらず、毎度の席外し。私の心の中では、「てめー、ざけんじゃねーよ! あれほど準備しとけと言っただろーに。誰か文書の受け渡しなりの連絡係を用意しとけよ!」と完全にブチ切れていた。

1日目の終了後に、デポGMP担当者に「連絡係を用意しておいてください。」と伝えた。まぁ、そのお蔭で2日目には1名別者が居たことはいたが、これがまた役に立たない。結局、2日目も本人が文書探しに席を立つ。私の心の中では、「てめー、なめてんのか! 何の役にも立たない1名を加えたってウザイだけなんだよ! 言ったことが分かってるんか! 質問に対する回答の主役のお前が中座してどうするんじゃ!」という言葉が喉から飛び出しそうになった(社内であったら、ほぼ間違いなく言っていたと思います)。

本社筋オーディターが優しい方たちで、中座に関しては何も言いませんでしたが、「不慣れだなー!?」とは思っていたんじゃないかと想像する。それとも、もっとヒドイ会社を見たことがあって、「まぁー、仕方ないか!?」と、(私とは異なり)寛大であったのか。その点は計り知れませんがね。

 

第9章:もう勘弁してよ!

1日目の午後から2日目の15時頃までズーッとこの調子。自分の立場はとうに見えない状態に。ただひたすら、早く終わってほしいと願う。自分が受けてきた監査でも、こんなに緊張したことは無い。彼ら内部でのラップアップの準備に入る。あー、まだ終わっていない。ラップアップは無事に終了して欲しいと願うが、そうは問屋が卸さないというのが現実であった・・・。

 

第10章:お前、何も分かってないじゃん!

さて、ラップアップが始まった。ここで、臨床開発部から「GCP関係のラップアップは自分たちだけでやる。」ということで、勝手に始めてしまった。「こちらGMP担当も自分たちだけでやらねばならない」と言うことは、嫌々ながらも通訳役を演じなければならないことになる。

どんな指摘が言い出されるかは既に想像がついている。問題は、その指摘に対して、実際に指摘を受けているデポGMP担当者が、その意味を理解しているかどうかである。納得云々ではない。納得するか否かは、ある意味では、指摘の背景や理由、そして深刻さがある程度分かっている証拠でもある。ハッキリ言って失礼だが、このデポのGMP担当者のレベル、異論や反論しうるだけの理解はない。ほぼ間違いなく、言われるがまま「修正します。」のレベルである。

実際にラップアップが始まった。始まった矢先に、ふと思う。「お前、何も分かってないよね。ちゃんと指摘の改善出来るんか? 無理なんじゃね!?」と。予想通り、通訳役を超え、指摘の解説をせざるを得なくなった*6。第4番目の役目として、「(GMP)指摘の解説者」が付け加えられた。

何故ここまで面倒をみるか。大事なことなので読者の皆さんにご理解いただきたい。指摘の本質が理解できていなければ、根本的な改善は無理なのである。格好つけた言い方をすれば、本来のCAPAに至らず、体裁だけの“見せかけの改善行為”に終わってしまう*7。心の中では、「これじゃ、指摘に対する改善計画まで面倒見なきゃならないんだろーなー。」と、ほぼ観念した心境に陥っていた。

 

第11章:はい、どうせ私のせいですよね。

本監査の報告を上司にすれば、「俺、このデポの担当じゃないんだけどなー!?」とは思いつつも、「お前、この監査に出席したんだろ。指摘もお前のせいじゃないか!?」と私のせいにされるのは明白。だったら、改善計画まで付き合って、本社筋からOKを貰ったほうが楽と考えざるを得ない。事実、そうなりましたけどね。もう勘弁してほしいわ。

 

第12章:疲労困憊でございまする。。。

2日間の監査が終了した時点では、さすがに疲労困憊であった。監査先から最寄り駅までタクシーで。駅で本社筋の連中とお別れ。彼らは、「帰国は明日なので、駅でお茶してから宿泊先ホテルに戻る。」とのこと。「それでは」とお別れの挨拶をして別れようとしたところ、彼らが「お前はコッチだろう!」と誘ってくれた。その気力も失せており失礼したが、彼らも私の尽力(板挟み状態の苦労か?)を理解してくれていたものと想像する。それが分かってくれただけで嬉しい。電車に乗り、即爆睡に入ったことは言うまでもない。

 

第13章:俺が日本法人のGMP部門の顔?

私が本話でお伝えしたかったことの1点目。それは、自分がどう思おうが、どんなレベルであろうが、相手は「あなたを御社のGMPの顔として受け止め、応対のレベルが御社全体のレベル」として解釈する。今回の場合、①委託先のGMP部門として評価・選定した責任(実際の選定と契約はGCP部門というのは言い訳でしかないと解釈される)、②本社筋からすればGCP部門を含む日本法人としての評価、③受託デポからすれば委託先の製造販売業者による監査、④その仲介としての通訳としての正確さ、⑤指摘改善対応のフォローアップ、が問われる状態となってしまった。相手の言っていることが伝わらなければ、本社筋からも受託デポからも「この会社は、そんなレベルなのか?」と思われても仕方ない。

別に本話での特殊な監査だけではない、通常の委託先監査であれ何であれ、実施する立場であれ受ける立場であれ、それが真実である。その状況下での本人の地位や立場に関わらず、それぞれが会社の代表であることは事実である。GMPやGQPの要件としての側面とは別に、あなたの一言一行は自分が考えている以上のビジネスにも影響する要素が入っているのである。その点は、胸に刻んでおいたほうが良い。

 

第14章:知識や経験は将来に役立てなければもったいないんじゃね。

お伝えしたかったことの2点目。それは、GMPのQA業務担当だからと言って、じゃー、GMPの知識と経験があれば十分かと問われれば、必ずしもそれでは足りないことだってある、ということである。今回のような治験薬関係であれば、GCPの知識も必要となる。グローバル治験であれば、本邦の治験薬GMP基準やGCP省令だけでなく、海外のGMPは言うに及ばず、一部のGCPの実務的知識(盲検化、コード化、ランダム化など)も必要になる。

本話をお読みくださっているあなた、現在の仕事が何であれ、いつの日かそれを役立てられるようにしておくことを強くお勧めする。もし将来QAになった際には、いやどんな仕事に就こうが、その知識や経験が必ず役立つ、いや役立てることが現在のお仕事に秘められた価値です。

 

終章:辛い経験だったからこそ、良い肥しになったかもしれません。

委託先の監査、GQP・GMPに携わる者であれば、現在ではごくごく普通の作業である。しかし、同一の監査の中で、「委託側(実施する立場)」、「受託側(受ける立場)」、「通訳(中立の立場)」の三者、さらにオマケの「指摘の解説者(理解させる立場)」の四者を同時に味わうという状況は、初めての経験であり、また以降に味わったことは無い。味わいたいとも思わないが、今になって思えば良い経験であった。何故なら、その経験をした以降の監査、実施する側としても受ける側としても、それまでになく深い洞察力と観察力が身についたように思える。違う言い方をすれば、GMPの本質と監査進行の空気が読めるようになった。でも、やっぱり一度でいいけど・・・。

それに加え、今回の中途半端な通訳役、勝手に自分の意図を加えるという通訳作業からすれば失格だが、監査を実施する側と受ける側の板挟み状態により、ひとつ学べたことがある。それは。監査を実施する側の思惑や質問の意図が読み取り易くなり、受ける側としてオーディターの意向や要件の本質を射抜く回答が読み易くなったことである。状況的に直訳が(指摘を受けそうで)出来ない故に、「あなたが求めていることは、こういうことですよね。そのものズバリじゃないですけど、それはこういう形でやっているから大丈夫ですよ。」といった風に置き換える工夫である。悪く言えば姑息なヤリ方でもあるが、GMPの要件を満たしているし、結果は同じであると言った次第である。むしろ、自分の中では『GMP要件の本質』を見抜く力が強化されたように思う。

いかがでしたでしょうか。「私にも似たような or もっと凄い経験があります。」と言うことであれば、それは滅多に味わえない素晴らしい経験だと思ってください。経験は、その成功/失敗を問わず、何にも増しての“良い肥し”となります

 

では、また。See you next time on the WEB


 

 

【徒然後記】

The Longest Day
本話のサブタイトルである「The Longest Days」から、映画「史上最大の作戦(原題:The Longest Day)」を思い出した読者が居られれば、かなりの映画通である。映画は、1962年のアメリカ映画で、第二次世界大戦における連合国軍のフランス北部のノルマンディー上陸作戦を描いた戦争映画である。当時の豪華キャストが出演しており、主題歌となっているテーマ曲もヒットしたので、曲は聴いたことがあるという読者も多いものと推測する。サブタイトルは、これをもじったものであるが、本文に記したように、古田土先生にとっては、まさに“人生の中で最も長く感じられた二日間”であったとのことです。


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*1:当時、当該社においては特命とも言える個別の相談や依頼を受けることが多く、しかも唐突な緊急対応が多かったことから、「GMPレスキュー室 室長」と自称していた。
 
*2:本邦では、治験薬デポ(治験薬の保管・配送の倉庫のことです)はGCP管轄となるため、ほとんどの場合、その契約は臨床開発部門である。そのため、委託先の監査としても、通常ではGCP部門による信頼性保証をメインとした形で実施されることが多い。
一方で、欧米では、治験薬の保管・配送(治験施設に交付されるまで)はGMP管轄であることから、契約はともかくとして、その物品的管理はGMP、治験の信頼性確保としてはGCP、両者として実施される。
 
*3:上記注釈*2に記したように、本邦での治験薬デポの管轄は基本的にGCPであることから、臨床開発部門が仕切っている。ただ、GCP部門に対して失礼かもしれないが、一般的にGCP部門は、治験薬の品質担当のCMCやQAに低姿勢なのは出荷までであり、出荷後の取り扱い(現実の品質)に対する意識は低いと言わざるを得ない。そのため、治験薬デポに対する余計な口出しを認めない傾向にある。ただし、もし治験薬の品質に何か問題が生じれば、(製造責任といった風に)CMCと治験薬QAのせいにするのも事実である。
 
*4:自国への輸入の有無とは無関係に、欧州を拠点とするQPやオーディターはEU-GMPしか考えておらず、米国を拠点とするオーディターはcGMPしか頭にない。PIC/S加盟後であっても、それは変わりない。PIC/S GMP≒EU-GMPのため、欧州についてはPIC/S対応でどうにかなるが、米国については、PIC/S GMPを良く分かっていない(理解しようと思っていない)者もいる。
 
*5:治験における“無作為化割付”や“治験薬供給”に関する業務全般を管理するためのIRT(Interactive Response Technology)システムで、主に以下の2種が汎用されている。
・IWRS(Interactive Web Response System);Web上で情報入力(被験者識別情報)をして、登録・割付を行うシステム
・IVRS(Interactive Voice Response System);電話による自動応答により、登録・割付を行うシステム
参考:https://www.ispe.gr.jp/ISPE/pdf/IRT_setsumei.pdf
 
*6:当該監査の指摘のうち、デポGMP担当者に最もちんぷんかんぷんであったのは、「温度計のキャリブレーション時の補正温度幅の許容範囲・誤差範囲、例えば±0.2℃といったもの」についての内容であった。かなりハイレベルな指摘ではあったが、問われていることの意味くらいは理解出来るようにしておきたいものである。その際は、通訳としての言葉のみの説明では無理であったので、仕方なく、ホワイトボードに図示して解説を加えた次第である。本社筋オーディター、こいつの相手は君に任せると言った感じであった(俺はあんたの部下じゃない、勝手にやらせるんじゃねーよ!)。
 
*7:CAPAと称して、小手先の改善で済ませている会社さんが少なからずある。同様の逸脱を繰り返している会社さんなどは、このパターンと言える。

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