「モノづくりの君へ」【第10回】

2013/05/27 その他

【第10回】工場や組織を危うくする7つの大罪
 その1 『在るもの』はみとめる姿勢
 その2 物事は意識しないままに必ず軸がブレていく
 その3 やましき沈黙
 その4 安定な時こそ"事故"のタネが刷り込まれている
 その5 隠してもダメ、必ずバレる
 その6 トップメーカーのライバルは?
 その7 モノづくりの哲学・・・「在庫/仕掛り削減」

 
 工場という組織のみならず会社という組織を危うくする7つの大罪について幹部・管理者として留意しておく点を述べる。その1およびその2は前回記述したので、今回はその3から述べる。
 
その3.やましき沈黙
 以前NHKテレビ番組で太平洋戦争に突入し敗戦したことについて海軍の同窓生が集まって反省会を開いたとき、海軍には「やましき沈黙」があったというこの言葉があった。戦争突入反対の意見はあったがそれを「口に出して言える雰囲気ではなかった」と。
 おそらく、そのようなことを口に出したら、国賊とか弱虫とか言われる雰囲気であったのだろう。
 「何も言えない、言いたいことを言えない雰囲気」は海軍の中でどのように形成されていったのかはわからないが会社、工場という組織の中では、それは間違いなく幹部・管理者が自らつくる、あるいは黙認する、お墨付きを与えることによって形成される。幹部・管理者はそんな重要な地位であることを自覚して欲しいし、また「在るものは認める」姿勢の項でも述べたが一旦上司が「白だ」と言ってしまえば組織の部下は(いわゆる、生活がかかっているから)「それは違う、黒だ」とは言えないのである。
 組織の決定、上司の決定には大部分のサラリーマンは逆らえないのである。幹部・管理者の諸君はこのことをわきまえて、行動・決定しなければならない。
 おかしいのじゃないの?と言える職場と部下づくりが必要なのである。
さらに、貴君が一旦決めても、決めた時の前提条件や環境は日々刻々変化する。違ってきたと思ったら勇気をもってメンツにこだわらず貴君の決定を変えることが必要。
 自身がトップになる会議では自分は決定者と思わずパネル討論会における司会者のような役割に徹すること(もちろん最終決定者は貴君だが)。
 また、日頃、分からないことは部下だろうが若い人だろうが「教えて頂く」こと。「貴君には話しやすい。聞いてくれる」という姿勢を心がけることが必要である。
 自身が万能ではないことを自覚し、「やましき沈黙」がただよう職場を作らないことだ。

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執筆者について

野崎 征彦

経歴 名古屋大学大学院応用物理学修了(ノーベル物理学賞受賞の小林誠氏と同じクラスで学ぶ。もっとも、私は入学後すぐに挫折しましたが…)
日本電気株式会社(NEC)において、半導体部門での約30年間の経験を経て、晴天の霹靂で、大正製薬株式会社へスカウト(?)され、執行役員生産本部長としてモノづくりを担当。複数の工場管理を行う。
「半導体」と「薬」という異業種での経験から、我が国の根幹である製造業の「モノづくり」に共通する危機と精神を強く知る。
現在、モノづくりマネジメントアドバイザーとして活動中。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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