医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第28回】

「製薬工場に必要なプロセスリスクアセスメント」

1、  製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化多様化が進む中、多くの企業でグローバルスタンダードへの関心が高くなってきました。なぜなら、日本の企業は世界中が混乱している中で他人事のように眺めていた時期から他人事でなくなってきたことを感じ始めたようです。BCM(ビジネス継続マネジメント)を構築し、運用している企業でなければは生き残れないことを身をもって体験しているからでしょう。BCMの構築で大切なのはサプライチェーンAuditをやることの必要性は感じていてもサプライヤーや委受託関連会社、協力会社などの何をオブザベーションするのかが重要です。例えば、安全リスク、火災リスク、自然災害リスク、ヒューマンエラーリスク、環境リスク、原薬曝露リスクおよび設備故障リスクも考慮せねばなりません。これらをすべて評価することは簡単ではありません。そこでプロセスリスクアセスメントとして高度な設備管理技術を駆使して設備とオペレターのキーとなる安全要素を特定し、詳細な分析・情報収集・竣工図の解析など行うことでリスクを評価し、高いリスク項目から優先的にリスク低減対策を実施することでリスクの低減を図ります。これらはいずれも生産活動を滞ることなく継続する為に重要で欠くことができないのです。サプライヤーAuditで関連工場を訪問し、オブザベーションやFindingsの指摘をし、その指摘内容が具体的でどのレベルのビジネス継続リスクかリスク低減対策のサポートをして、どのようなリスク低減対策を期待するのか。その結果、ビジネスの継続にどのような成果が期待できるのかを明示し、教育出来る技術が必要となります。これはAuditのStandardを熟知したレベルだけではなく、設備管理技術や安全リスク評価技術、火災リスク評価技術、環境リスク評価技術、自然災害評価技術、ヒューマンエラー評価技術、人的災害リスク評価技術など各技術を駆使し、関連リスクをすべて評価します。そして、優先順位付けした上でリスク低減対策案のアドバイスが必要になります。従って、どこかの教科書に書いてあるサプライチェーンAuditのチェックリストについて質問をするだけではビジネスを継続する為に役に立つことは少ないと考えなければなりません。国際化によってこれらのリスクアセスメントはプロセスリスクアセスメントとしてグローバルスタンダードを英文併記で出来ていることが求められています。これは誰でも出来ることではなく、上記の通り、技術レベルの高いエンジニアが現場を歩いて、キーとなる安全要素を特定し、以下のような事例の分析資料をすべて集めて評価の根拠にすることで具体化初めて指摘事項の意味やそのリスク低減対策が具体的に見えてくるものです。 

各設備機器の竣工図と工程フロー図、その中の主要機器の運用上の特徴

各設備機器の仕様とライフ及び使用科の使用可能年数、メンテナンス時期と内容

関連GHS(Global Harmonyzed Symbol)

関連SDS(Safety data sheet)・・・OEB,OEL,MIE,Kstなどの情報入手

消防用設備機器仕様

環境や火災のハザード要件

生産機器の主要な安全要素とその仕様

その他

これらは大変難しく設備機器技術を熟知している必要があります。

国際化多様化は今や海外の話ではなくなりました。国内企業の海外企業との間で業務提携や委受託、原料供給、副原料や資材の供給などは当たり前のように行われています。グローバル企業はすでに必要なBCM対応を多かれ少なかれグローバルスタンダードで運用してきています。国内企業もグローバルスタンダードでサプライチェーンを巻き込んだ運用をせねばなりません。人的資本を高めて競争力を高めておくことこそが近未来の生き残りを担保出来る唯一の手段となることでしょう。

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