EUの薬草モノグラフ作成における臨床上の安全性と有効性評価に関するガイドラインについて

Guideline on the assessment of clinical safety and efficacy in the preparation of European Union herbal monographs for well-established and traditional herbal medicinal products

十分確立された、伝統的薬草医薬品に対するEUの薬草モノグラフ作成における臨床上の安全性と有効性評価に関するガイドライン

ガイドライン原文(ドラフト リビジョン1):
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2016/09/WC500212240.pdf
 
要約
欧州特有の薬草モノグラフ作成のためのEUのガイドラインである。2007年の初版の改定であるが、大きな改定はない。使用実績があり、毒性が無ければとりあえず許可するように見え、必ずしも薬効を期待するようには思われない。

現在EUではHMPC (Committee on Herbal Medicinal Products)により、十分実績のある薬草医薬品の薬草モノグラフと薬草リストを作成中であり、本ガイドラインには、そのデータの評価に関する推奨事項が記述されている。
初版は2007年の発行であるが、ここ10年間の進歩及び規制上の整合性を考慮し、改定版を発行することになった。植物薬は複雑な組成を有しているので評価は困難であるが、長期的な使用実績があれば、通常の評価に代わる科学的な根拠となり得るとしているが、科学的な医療実績のある薬草医薬品と伝統的に使用されている薬草医薬品を区別する必要があり、その評価法と注意点が記述されている。

モノグラフとリスト、共に申請に用いることが可能であり、医薬品としてEUで10年以上の使用実績があり、科学的な文献があれば、活性成分の非臨床試験や臨床試験は不要であるが、不都合なデータも含める等、通常の評価と同様の注意が必要である。

有効性の証明には、適切に品質を管理した臨床研究を少なくとも一つ含むこと、が条件であるが、必ずしも通常の臨床試験が必要であるということを意味しない。10年以上の使用実績から、科学的に評価できる結果を示せば良いが、適応症や薬剤リスクは適切でなくてはならない。使用実績で基本的に要求されるのは通常の使用条件で害がないことである。文献上の証拠には、医薬品としての使用実績の他に、食品や化粧品としての使用実績も含まれる場合もある。

適応症は、原則として医者がいなくとも診断や処方が可能であることが原則で、薬草医薬品を投与することにより、医者による治療が遅れた場合のリスクを評価しなくてはならない。ラジカルスカベンジャーや抗酸化剤といった言い方は不適切で、コレステロールレベルや血圧といった臨床上の具体的な評価と関連した科学的な根拠が必要である。また、健康増進といった一般的なものは適応症とはいえない。

包括的な文献検索は安全性に焦点を当てること。十分確立された薬草薬の臨床安全性の項目は指令2001/83/EC Annex 1によること。伝統的な薬草薬については、広範囲な長期間の情報収集が必要で、使用されていない期間のあるものは問題がある。特に、小児や妊婦に対する安全性は注意しなくてはならない。生殖毒性や授乳の安全性評価、用語については、CHMP guideline 203927/2005参照。

 

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