非臨床【第28回】試薬等の消耗品管理の考え方

試薬等の消耗品管理の考え方

研究開発あるいは医薬品製造などにおける消耗品の管理について考えてみます。私が長年に渡って携わった非臨床試験に使用する試薬等の消耗品を、科学的に管理する方法を示します。消耗品の管理も研究開発の重要な一端を担っていると考えています。つまり、消耗品を科学的に管理することで、試験の質の保証に繋がってきます。研究室で使用する消耗品には、試薬、試験管および紙類(ペーパータオル等)などの多くのものがあります。
これらは在庫と廃棄の2つの管理が必要ですが、どのような手順で行っていますか。

各研究室の試薬棚、物品置き場など、身近に共通の置き場所を決めて、誰かが購入して在庫を維持しています。これらは、部署管理を含めて、ある意味、個人裁量です。このような個人管理の場合は、実験室に研究者あるいはチームなどの単位で、同じものがあふれ、新品と在庫品の区別が曖昧になります。すると、使われていないものや、忘れられたものの在庫が増加し、特に試薬等の化学物質の放置品は問題です。実験者は潔癖な性格が基本で、氏素性の定かでない試薬の使用に消極的なのは当然です。

そこで、試薬も含めて、全ての消耗品を「一元管理」してはいかがでしょうか。
管理の単位としては、共用の建物単位を基準に、大きな範囲で行うと効果的です。研究開発部門のように、予算管理が同じ範囲であれば好都合です。管理委員会のような組織を立ち上げ、購入と廃棄を一元管理するISO14001(環境マネジメントシステム)を運用するのも名案です。ISO14001は環境に配慮した事業活動を行うための管理システムの国際規格になります。大量生産・大量消費・大量廃棄を改め、環境への負荷が少ない循環型社会の形成を目指しています。つまり、-方通行型の消費から、環境に配慮した循環型社会を目指すことを目的とした活動といえます。このISO14001に試薬等の化学物質の適正な管理を組み込みました。

化学物質を扱う場合に基本となる情報は、SDS(Safety Data Sheet : 安全データシート)より得られます。経済産業省が管轄して化管法SDS制度により情報管理されています。化管法で指定された化学品を他の事業者に譲渡又は提供する際には、化管法SDSにより、特性および取扱いに関する情報を提供することを義務づけ、ラベルによる表示を行う制度です。

化学物質による、「人」と「環境」への危害を最小限にするには、利用者自ら、厳格かつ適正に管理しリスクを抑えることが、国際社会から求められています。試薬等の化学物質の管理システムとしては、「医薬品管理のIASOシステム」があります。このシステムを使用することで、在庫リストの作成、使用履歴等の情報を共有化し、化管法SDSの情報に従って分類して法規制に従って化学物質を管理します。

試薬管理を行う場合、SDSを参照し、まず未開封と開封後の使用期限と在庫量を決めます。使用中であることの確認も重要です。この原則を基に、関係者全員で、一気に全ての実験室で試薬の棚卸を行います。これにより、使用者不明、開封日不明の試薬などを集めて廃棄します。未開封試薬は一元管理し、定期的に棚卸を実施します。

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