医療機器の上市を考える上で【第4回】

上市に向けた計画を立てるために

 本稿では、時代が変化する中で、医薬品や医療機器などの開発から上市、そして上市以降もあらゆる面でサポートを行うために、新たに京都府として『薬事支援』を業務とし、京都府薬事支援センターを設置し、支援を行うこととしました。
その中で得た経験等を踏まえて、皆さまに参考となるような情報をお伝えできればと思っています。

1.上市したい医療機器に合った製造販売業の許可
 前回の記事において、医療機器、その「モノ」のクラス分類やそれに関連する手続きをご説明させていただきました。
 今回は、その「モノ」を製造し、製造販売を行ういわゆる事業者の方々、「者」に関する許可や登録について説明させていただきます。

 まずは、医療機器としての承認等を取得し、その医療機器を、責任を持って市場に供給する「製造販売業」の許可について説明させていただきます。

 なお、余り聞き慣れない方もおられるかもしれませんので、「製造販売」という定義についてご紹介させていただきます。
薬機法第2条第13項において「製造販売」は次のように定義されています。

第2条第13項
 この法律で「製造販売」とはその製造(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を除く。以下「製造等」という。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品を、それぞれ販売し貸与し、若しくは授与し、又は医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)電気通信回線を通じて提供することをいう。

 そのため、デバイスなどの有体物はもちろんのこと、プログラムである無体物を市場に販売、提供等することが製造販売となり、製造販売を行う事業者の方々が「製造販売業者」となります。

 なお、誰でも医療機器の製造販売が出来るわけではなく、許可を取得しなければ製造販売を行うことはできません。
 前回、医療機器はその侵襲性によりクラス分類が決められていることをお伝えしました。
 また、一般医療機器(クラスⅠ)、管理医療機器(クラスⅡ)、高度管理医療機器(クラスⅢ及びⅣ)という邦語での分類もされており、製造販売業の許可の種類は、この分類に応じて規定されています。

 ここで少し気を付けなければならないことがあります。製造販売業の場合、医療機器のクラス分類とは逆にその数字が小さくなるほど、侵襲性の高い医療機器を扱うことが可能となっており、具体的には次のとおりです。

第1種…高度管理医療機器(クラスⅢ及びⅣ)を含む全てを製造販売できる。
第2種…高度管理医療機器(クラスⅢ及びⅣ)は製造販売ができない。
   (管理医療機器(クラスⅡ)や一般医療機器(クラスⅠ)は製造販売が可能)
第3種…一般医療機器(クラスⅠ)のみ製造販売できる。
   (高度管理医療機器(クラスⅢ及びⅣ)や管理医療機器(クラスⅡ)の製造販売は出来ない。)

 なお、後述しますが、数字が小さくなるほど、侵襲性が高い医療機器を扱うことができる反面、その医療機器を適切に扱える能力が必要となるため、ハードル(基準)がより厳しいものとなります。

 そのため、全ての医療機器を扱えるから第1種の製造販売業許可を取得しようと考えるのではなく、これから取り扱う医療機器のクラス分類に応じた種類の製造販売業の許可を取得することをお勧めします。
 将来的に、より侵襲性の高い医療機器を取り扱うことが決まった段階で、上位(より数字の小さい)許可を改めて取得することが、合理的な場合が多いと考えます。

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